徳間文庫<br> 雨夜の星たち

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徳間文庫
雨夜の星たち

  • 著者名:寺地はるな【著】
  • 価格 ¥847(本体¥770)
  • 徳間書店(2024/06発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784198949471

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内容説明

「主人公が少しだけ他人と心を通わす様が、
わざとらしくなく無理がなくて、好きです。」
――沖田修一(映画監督)

できないことは、できません。
やりたくないことも、やりません。


他人に感情移入できない26歳の三葉雨音は、
それを長所と見込まれ、お年寄りの病院送迎や
お見舞い代行の「しごと」をはじめる。
聞き上手な80代セツ子、
手術の付き添いを希望する40代の好美など
依頼人は様々。空気を読まない三葉だが、
行動に変化がみられていく――。
めんどうだけど気になる三葉から
目が離せない。
解説:沖田修一


【著者からのコメント】
「雨夜の星」は目に見えません。
でもたしかにそこにあります。
空気を読むという言葉があります。
空気は目に見えません。
見えないけれどそこにあるものは、
良いものとはかぎりません。
その場の空気を読むことばかりに心を砕き、
いつのまにか決定的に間違った方向へ
進んでいくことだってあるのです。
空気は読むって、そんなに良いことなんでしょうか?
そんなことを思いながら書きました。

【主な登場人物】
◆三葉雨音 26歳。職業はお見舞い代行。
他人に興味がない。
◆霧島開 三葉の雇い主。
喫茶店の店主で、ホットケーキが苦手。
◆リルカ スナックで働く、
感情豊かで共感能力が高い霧島の彼女。
◆星崎聡司 三葉の元同僚。
湯気の立つ食べものが苦手。失踪中。

【依頼人たち】
◆田島セツ子 病院への送迎。聞き上手な80代。
◆権藤 肝臓の病気で入院中の70代。
因縁の相手。
◆清川好美 手術の付き添い。
配偶者なしの42歳。

日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、
SPURほか各メディアで紹介されました!
(2021年単行本刊行時)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

そる

226
今まで読んだ本で1番良かったかも、と言うくらいとても良かった!大げさでなくわざとらしくなく人間って、世の中ってこんなもんだよな、生きづらさとか個性とかあるしそれがダメとかいいとかないよな、と思える、誰のことも受け入れてくれるような、Mrs. GREEN APPLEの曲と通じるような話。私のバイブルになりそう。「「けど、ほんまに他人に関心がないんかな、あんたは。もしかしたら簡単に相手のことをわかった気になりたくない、と思ってるんちゃう?」(略)一度わかった気になると、それ以上のことを分かろうとしなくなる。」2024/06/22

dr2006

53
注意散漫で嘘やお世辞を言わないことで、我儘で生意気で冷たいと疎外される人がいる。最近やっとそれが個人の特性だと知られてきた。三葉雨音は、他人に共感したり察っしたり忖度することかが出来ない特性を持つ女性だ。その親身にならない特性を逆に活かし、高齢者の病院への送迎や見舞い代行の仕事をしている。世間的に面倒を看るべき家族をあえて避け、他人に外注する人もいるのだ。そんな三葉の視点の日常が言語化された秀逸な作品。特に日本では今もなお、自分たちと何か違う人に対し過敏だ。所謂一般的や常識的という押し付けに一矢報いた。2025/02/20

なつくさ

37
初読みの作家さん。「みんなだめですよ。あなたもわたしも、生きている人はだいたいだめです」三葉は、他人に共感もしないし、感情移入もしない。誰もが他人と共存していく世界できっと、三葉のような人は生きづらいだろうし、ぼくもまた三葉が嫌いだ。ずるいと思うから。三葉みたいに生きられたらと思うのにそう生きられないから、きっと、嫌いなのだ。自ら罰を抱えた彼女はきっと、誰よりも優しい。普通を自称する奴らより余程。それでも認めてしまったら、自分が可哀想だから、嫌いだと言いたい。三葉にはそれで十分伝わるだろうと思いつつ。2024/06/09

空のかなた

27
「できないことは出来ないと言います。やりたくないことも、やりません」「あなたがやってくれ、と言ったことだけをやります、あなたがしてほしいことを察して行動することはありません。普通はそうするでしょ、というあいまいなルールに従って行動することもありません」雨音という名前は名乗らず名字だけを伝える。主人公三葉は他人に感情移入できない。三葉が請け負う”しごと”とそれを通じて出会う人々との交流が綺麗事ではないところで進んでいく。側面のキーマンは毒母、愛情過多だったり、子離れできなかったりと、読んでいて辛くなる。2024/10/28

タルシル📖ヨムノスキー

27
まずは物語の中に「ほたるいしマジカルランド」という言葉が出てきて、それだけで嬉しくなりました。空気を読み、人の気持ちを察することが世の中を上手く渡っていくための必須のスキルと言えなくもないこの世の中は、なんだかちょっと息苦しい。主人公の雨音は他人に感情移入できず「できないことは、できません」「やりたくないことも、やりません」という女性。彼女はそんな性格を見込まれ、高齢者の病院への送迎や、お見舞い代行の仕事をすることになる。誰もが失敗と成功を繰り返しながら成長していく。大切なのは自分の居場所を見つけること。2024/06/09

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