ちくま新書<br> アッシリア 人類最古の帝国

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ちくま新書
アッシリア 人類最古の帝国

  • 著者名:山田重郎【著者】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 筑摩書房(2024/06発売)
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  • ISBN:9784480076205

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内容説明

人類史上最古の帝国、アッシリア。圧倒的な軍事力と洗練された行政システムによって古代西アジア世界の統一を成し遂げたこの国家はいかにして生まれ、なぜその繁栄の絶頂から100年ほどのうちに歴史の表舞台から姿を消したのか。本書では、その起源である都市国家アッシュルの誕生から、領域国家アッシリアの成立、さらにはそれがバビロニアをはじめとする近隣諸国と抗争を繰り返しながら帝国として花開くまでの1500年にもわたる歴史をたどり、謎に満ちた滅亡の背景に迫る。本邦を代表するアッシリア学者による待望の通史。

目次

はじめに/序章 「アッシリア」とその史資料/メソポタミアの都市文明と楔形文字文書/アッシリアとは/文書史料/考古資料/時代区分と王の統治年/第1章 都市国家アッシュル──古アッシリア時代/1 都市アッシュルとカネシュの商業コロニー/都市アッシュル/キュルテペ文書/カールム・カネシュ/アッシュル商人の活動/アッシュルとカネシュの協商関係/家族企業と投資信託/リンム職とアッシュル市の行政/2 残された王の記録/『アッシリア王名表』/「テントに住んだ王たち」と「父祖であった王たち」/3 シャムシ・アダドと北メソポタミア王国/マリ文書/アムル系僭主サムスィ・アッドゥ/4 古アッシリア時代の終焉/暗黒時代の到来/プズル・シン碑文/第2章 領域国家アッシリアの成立──中アッシリア時代/1 ミッタニの攻勢と領域国家の成立/フリ系国家ミッタニの台頭/アマルナ文書/アッシュル・ウバリト一世の書簡/バビロニアとの関係/2 中アッシリア王国の最盛期とその後の混乱/ハニガルバト征服/トゥクルティ・ニヌルタ一世のバビロニア遠征/新都市カール・トゥクルティ・ニヌルタ/内憂外患と王の暗殺/アッシリア内部の権力争い/ニヌルタ・トゥクルティ・アッシュルの文書庫/3 領土の再拡大と王国の衰退/ティグラト・ピレセル一世と年代記/アッシリアの暦と王の治世年/レヴァント世界の混乱/アラム系諸部族の侵入/4 領域国家アッシリアの構造/行政制度と王のステイタス/行政州分割/中央行政と西方拠点ドゥル・カトリンム/軍制と地方社会/第3章 帝国への序曲/1 再征服と新秩序/新アッシリア時代/再征服の開始/2 アッシュルナツィルパル二世と新首都カルフ/征服戦争/新首都カルフ/カルフの都市プランとその新規性/3 シャルマネセル三世による王国の拡大/シャルマネセル三世の王碑文と征服戦争/黒色オベリスク/「アッシュルの地」と「アッシュルのくびき」/4 分権化の時代/シャルマネセル三世治世末期の内乱/「リンム年代誌」の証言/シャムシ・アダド五世即位の状況/弱体化か、準備期間か/アダド・ネラリ三世とセミラミス/有力者たち/シャムシ・イルとその時代/混乱の中で/第4章 帝国期の幕開け/1 ティグラト・ピレセル三世の進撃/ティグラト・ピレセル三世の出自/遠征と領土拡大/バビロニアの政治的統合/2 強制移住政策と州行政システム/王宮と王の年代記/ティグラト・ピレセル三世時代の王室書簡/行政州再編と新しい強制移住政策/アラム語の標準語化/「帝国」の誕生/シャルマネセル五世によるサマリア征服/第5章 サルゴン二世と「サルゴン朝」/1 「サルゴン朝」/サルゴンの即位/出自の謎/二つの遺体/アッシリア帝国の最盛期/2 サルゴン二世の軍事遠征/即位後の反乱鎮圧と治世初期の軍事行動/ウラルトゥ遠征と「神への手紙」/王室書簡とコミュニケーション・システム/バビロン文化への心酔/3 新首都ドゥル・シャルキンとサルゴンの死/遷都の理由/ドゥル・シャルキン建設/コルサバード発掘/主要城塞の建築物/城門と城壁の名前/ドゥル・シャルキンにおける市民教育/サルゴン戦死/タバルの地とグルディ/凶兆/第6章 センナケリブの治世と帝都ニネヴェ/1 サルゴン戦死の反響/センナケリブ即位/相次ぐ反乱とバビロニア遠征/2 ユダ遠征とエルサレム包囲/西方遠征/エルサレム包囲/聖都エルサレム不滅神話/3 ニネヴェ再建/つかの間の平和/古都ニネヴェ/建設事業に関するデータ/主要城塞、王宮、神殿/市壁と城門/庭園と水利事業/軍管区/「王の道」/4 バビロニア問題/問題の発端/バビロン攻略/バビロン破壊の反響/5 王位継承問題とセンナケリブ暗殺/「アッシリアの平和」の陰で/エサルハドン碑文の「証言」/下手人探し/第7章 エサルハドンの偉功と苦悩/1 バビロン再建/反乱鎮圧とエサルハドンの即位/『サルゴンの罪』/再建と復興/2 エジプト遠征と王の病/エサルハドンの軍事遠征/メンフィス攻略/病気がちの王/複数の反乱/3 卜占と厄除け/吉凶の予兆/厄払い/「身代わり王」の儀礼/4 エサルハドンの死/皇太子候補者/王位継承の誓約儀式/誓約文書/遠征途上の死/第8章 アッシュルバニパルとアッシリアの繁栄/1 皇太子アッシュルバニパルの教育と即位/皇太子の英才教育/知識人としての王/アッシュルバニパル即位/2 エジプト遠征/アッシュルバニパル治世に関する史料/エジプト遠征の始まり/テーベ略奪/3 フェニキア、アナトリア、ザグロス諸国/テュロス/リュディアのギュゲス/マンナイとその周辺/4 エラム王国との抗争と「兄弟戦争」/悪化する関係/ティル・トゥーバの戦い/「兄弟戦争」の始まり/バビロン落城/謎の「バビロンの王」カンダラヌ/エラムへの再度の遠征/アラブ諸部族との闘い/5 アッシュルバニパルのライオン狩り/アッシュルバニパルの北王宮/アッシリアにおけるライオン狩り/アッシュルバニパルのライオン狩り/6 「アッシュルバニパルの図書館」とメソポタミアの知の伝統/王の図書館/「図書館」はどこか?/アッシュルバニパルの文書収集/蔵書の量・内訳とその価値/第9章 帝国の落日/1 アッシュルバニパルの治世末期と後継者たち/不透明な終焉/史料の不足/宦官の優遇/宦官長シン・シュム・リシルと若年の王アッシュル・エテル・イラニ/2 バビロニアおよびメディアの反乱とアッシリアの滅亡/ナボポラサルのバビロン即位/シン・シャル・イシュクン治世の始まりとバビロニアの攻勢/メディアの台頭/アッシュル陥落/ニネヴェ陥落/再起をかけて/ハラン陥落/バビロニアとエジプトの戦い/3 アッシリア帝国滅亡の原因/なぜ亡びたのか/不安定な政治と実行力の欠如/「拡大する国家」の行き詰まり/人口動態と気候変動/外敵の攻撃によるとどめ/終章 アッシリアの記憶/残されたコミュニティ/帝国の記憶/現代の「アッシリア人」/おわりに/あとがき/王名一覧/図版出典/主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よっち

37
オリエント統一を果たした謎に満ちた人類史上最古の帝国アッシリア。都市国家アッシュルの誕生から、帝国の絶頂期、そして不可解な滅亡の背景までを解説する一冊。圧倒的な軍事力と洗練された行政システムで古代西アジア世界を統一した国家はいかにして生まれ、なぜ繁栄の絶頂から100年ほどのうちに歴史の表舞台から姿を消したのか。実際には都市国家アッシュルからの領域国家の成立があって、滅亡に向かう要因にはどこも似たようなものでしたね…近年新資料が出たそうですが、あれほど昔の時代でも意外と資料が残っていることに驚かされました。2024/07/05

サアベドラ

36
人類史上初の世界帝国たるアッシリアの専門家による一般向け概説書。2024年刊。都市国家時代から滅亡までの歴史を王朝史・政治史を中心に考古学史料や楔形文書などを元に辿る。商業都市として出発したアッシュルが長年の雌伏を経て軍事大国として強大化し、周辺諸国を併呑し帝国化するも、拡大しすぎた末に内紛を誘発し外敵の攻撃でとどめを刺される。聖書やヘロドトスに汚染されていないフラットなアッシリア像を読むことができる。正直地味な印象を受けるが、この国がなければオリエント文明の知識が後世に残されることもなかったのも事実。2024/09/07

ピオリーヌ

24
「はじめに」で記された内容が印象的。以下引用。「アッシリアはアケメネス朝ペルシアに先立ち西アジアに成立した帝国の原型として人類史における注目すべき国家であり、古代世界にあって、きわめて多くの考古遺物と文書を通じて、驚くべき詳細さでその個性的な歴史と文化を知ることのできる出色の歴史的現象である」この本を読めば、多くの日本人にとって名前や定型的なイメージしか知り得ないアッシリア帝国の魅力に気付くことだろう。また最近オリエント史の本を続けて読んだのもあり、昨年訪れた古代オリエント博物館に再訪したくなっている。2024/07/31

月をみるもの

22
アッシリア、バビロニア、エジプトといった大国に囲まれた弱小ユダヤ国家が、こんなにも長く生き延びていままさにガザで虐殺を繰り広げているのをみると、旧約聖書という書物のパワーを実感せずにはいられない。まさに「はじめにことばありき」2024/08/01

ぽんすけ

21
ごめんなさい。アッシリアっていうとメソポタミア文明のどっか?くらいでぶっちゃけ王家の紋章のアッシリアのイメージしかなくてメンフィスにやられる噛ませ役だと思ってました。こんな偉大な国家だったなんて。紀元前3000年で社会システムが完成されてるのがすごすぎてもう…。特に経済分野で隊商への課税、貸付利子設定、投資信託、年数回の決算処理、公機関との相互権利義務取り決めによる整然とした商取引ってのがもうビビる。そして粘土板すごいね!私は中国の紙最強だと思ってたけど、粘土板の記録保存能力すごい。これからの発掘にも期待2024/10/30

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