内容説明
大阪へ来た人、大阪を出た人――かつていた場所と今いる場所が「私」を通して交差する。街と人の呼吸を活写した初共著エッセイ。文庫化にあたって書き下ろし収録。解説:西加奈子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
25
少し前の河出文庫新刊、どちらの著者の本も馴染みで、この本も評価が高かったので遅ればせながら、まずお二人の文章の密度の高さには驚きました、大阪に偏在した過去のあれこれそして、場所としての大阪そこに生きる人をさりげなくだが、濃密に描き出してくれます。飼っていた猫、嫌いや受けた面接、商店街、災害、飲み友達、コンサート、お二人とも文化人類学、人文地理学に造詣が深いだけに素敵なコラボとなりました。表紙のイラストも素晴らしいですがその見返しでカバーイラスト◎名久井直子、カバーデザイン◎小川雅章は逆だと思う。校正ミス2024/05/11
かもすぱ
13
大阪(市)に来た人と出た人の、交互に織りなすエッセイ。思い出話でもあり、それぞれの生活史・記録でもある。大阪以外では見えないことになっていることや、ひと世代前の雰囲気や価値観など。湾岸/河/街の大阪の話が多く、自分の住んでいる"大阪"とまた少しちがう。自分も「大阪に来た人」でありながら、「出た人」柴崎友香さんの「湾岸の大阪」に仕事で馴染みのあることもあって、この本を読んだ人にとってはレアなハーフアンドハーフな体験をした。2024/10/25
'75s'85s
12
通勤電車で一ヶ月かけて読みました。ちょうど今、20年ぶりくらいに大阪に戻ってきてて、かなりローカルな感じが共感できて面白かったです。90年代後半のアメリカ村とか淀川河川敷とか。自分が一番いい思い出なのは、90年代になる直前のアメリカ村で買ったマリリン・モンローのカッターシャツです、、、その頃って映画の「ブラック・レイン のロケもあったみたいだし、、、なんか賑やかでした。この本は、面白く読んで、最後の文庫版描き下ろしの2篇で、少し霊感的に感動する場面が両方ともありました。割とお二人の間くらいの世代です。2024/06/28
わ!
10
タイトルが大阪なので、単行本の時から気にはなっていたのですが、内容があくまでエッセイということで、購入せずにいました。それが文庫化されたと言うことで、早速読んでみたわけです。先にも書いた様にエッセイです。社会学者の先生と、女性の小説家によるエッセイ集です。二人とも自分が若い頃に過ごした大阪での出来事を書いています。読んで笑えるエッセイと言うよりは、ほろ苦い青春時代のエピソードが多く、その事象に対して、大阪と言う場所がどの様に影響を与えたかが書かれていて興味深く、一味違った第三者目線の大阪が読み取れます。2024/04/28
シンプルねこ
10
私は大阪に住んだことはない。でも、お二方が交互にエッセイを綴っていくのを読んでいくうちに、人は住んでいる街に影響を受けて、街と共に生きていくんだなと思った。大阪の思い出を語っているようでいて、お二方の人生が垣間見えてきて面白いエッセイだった。2024/04/26