講談社選書メチエ<br> 身体と魂の思想史 「大きな理性」の行方

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講談社選書メチエ
身体と魂の思想史 「大きな理性」の行方

  • 著者名:田中彰吾【著】
  • 価格 ¥2,145(本体¥1,950)
  • 講談社(2024/06発売)
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  • ISBN:9784065235195

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内容説明

ニーチェは、19世紀の終わりに「身体はひとつの大きな理性だ」という印象的な表現を残している。近代的な理性による啓蒙が重視された時代背景と対照させて考えるなら、ニーチェは啓蒙主義的な理性を「小さな理性」、それに対抗して到来すべき身体を「大きな理性」ととらえていたと思われる。小さな理性を重視する合理的主体ではなく、生命のはたらきを内蔵する「大いなる理性」としての身体こそ、来るべき20世紀を生きる主体だと見ていたに違いない。
ニーチェに呼応するかのように、フロイトやライヒの「症状」あるいは「性」への着眼から、メルロ=ポンティが示した「受肉した意識」としての身体、さらに認知科学の展開へと、身体の意味が探求されてゆく。20世紀終盤には身体性認知科学が興隆、身体と環境の「あいだ」に拡がる心を見出し、いっぽう脳神経科学は拡張身体の可能性を探ることになる。
本書では、まず(1)フロイトと精神分析の思想、(2)精神分析から派生したライヒの生命思想、(3)サルトルの実存主義における精神と身体をめぐる議論を紹介する。続く20世紀半ばから現在にかけて展開する身体の思想としては、(4)メルロ=ポンティによる身体論と身体性認知科学を取り上げ、その展開として、(5)現代における身体イメージとその病理をめぐる議論、(6)脳神経科学と技術を通じて見えてくる「拡張身体」の姿を見定め、合わせて心の科学に関連する広範囲の文化現象を通じて、人びとの身体と心がどのような未来に向かいつつあるのかを考察するものである。

[本書の内容]
序 章 大きな理性としての身体
第1章 精神分析における身体――フロイトの洞察
第2章 性と聖を結ぶ身体――フロイトからライヒへ、ライヒから現代へ
第3章 身体の思想としての実存主義――サルトルを超えて
第4章 身体を取り戻した心――メルロ=ポンティと身体性認知
第5章 身体イメージと現代――「付き合いにくい存在」か「大きな理性」か?
第6章 脱身体から拡張身体へ――脳科学から見る身体の近未来

目次

序 章 大きな理性としての身体
第1章 精神分析における身体――フロイトの洞察
第2章 性と聖を結ぶ身体――フロイトからライヒへ、ライヒから現代へ
第3章 身体の思想としての実存主義――サルトルを超えて
第4章 身体を取り戻した心――メルロ=ポンティと身体性認知
第5章 身体イメージと現代――「付き合いにくい存在」か「大きな理性」か?
第6章 脱身体から拡張身体へ――脳科学から見る身体の近未来

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

119
難しいながらもなかなか面白く。フロイト、ライヒ、サルトル、メルロポンティ、とざっと身体論関係を復習。そして、BMI,VR等、最先端科学へ。もともと理工系研究者の哲学史。ボディワークで修士論文書いてるのはびっくり(受理されるのか?)2024/11/06

takao

2
大きな理性としての身体。2024/09/14

Go Extreme

1
https://claude.ai/public/artifacts/d3ab0e87-c02f-4c3b-a062-061a184329a4 2025/07/06

y

1
昔からキリスト教やイスラム教の善悪二元論がしっくりこなかった理由が本書を読んでわかりました。 よく理解できずに読んだツァラトゥストラも再読しようと思いました。 翻訳書ではないのに、そんな感じの読みにくさを感じたのは、自分の理解力のなさか、知見のなさなのかなーと反省しましたが、とっても勉強になりました。2024/09/30

YASU

0
メルロ=ポンティを知りたくて読んでみたのだが、思っていたのとは少し違った。しかしこれはこれでなかなか面白い。デカルトの心身二元論に対するニーチェ、フロイト、ライヒ、サルトル、メルロ=ポンティへと身体論の系譜が語られる。そのうえで、「脳があれば身体不要」という唯脳論的考え方は退けられ、「脳―身体―環境」という系での自己主体性が説かれる。納得である。2025/03/08

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