内容説明
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人気シリーズ「乙女の本棚」第39弾は、文豪・谷崎潤一郎×イラストレーター・ねこ助のコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
私はむしろ人間よりも人魚の種属に堕落したい。
歓楽の絶頂を極め、なお新たな楽しみを求めつつもそれが手に入らない貴公子。あるとき彼は、珍しいものを扱う外国人に出会う。
谷崎潤一郎の名作が、書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどで美麗な人や獣を描き本シリーズでは『ルルとミミ』『鼠』『魚服記』『山月記』『赤とんぼ』を担当するイラストレーター・ねこ助によって描かれる。名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寂しがり屋の狼さん
51
『乙女の本棚』シリーズ40冊目(◕ᴗ◕✿)著者は同シリーズでは「刺青」「魔術師」などがある谷崎潤一郎。結ばれることのない貴公子と人魚の恋。『ねこ助』さんの挿絵で美しくも幻想的な世界に…2024/11/26
たまきら
42
中公文庫の挿絵(水島 爾保布)とはまた違う、初々しい人魚ですが、やわらかそうな肉を感じさせる美しい彩色はこちらでしか味わえない感覚です。散々周囲をやきもきさせておきながら、たった一人の運命の女(わがままで自分本位なほどよし)に翻弄される男の自己憐憫たっぷりな文章は、矮小でグロテスクで、同時に他に類を見ない美しさです。さすがこの国を代表する変態さん、谷崎だわ~。2024/08/31
ぐうぐう
39
敗退的な世界と耽美、そして魔がここには描かれている。快楽を極めた若き貴公子が退屈の果てに出会ったもの、それは謎めいた異人が持ち寄った人魚だった。そこにもはや理屈はない。谷崎の美しくも妖しい文体が、意味や理由を遠ざけ、名前のない感情へと読者を、人間そのものを誘っていく。ねこ助の画は、そんな抗えぬ引力をさらに稼働させる。もはや堕ちていくしかないのだ。それを魔と呼ばずして、なんと呼ぶのか。2024/06/13
高宮朱雀
18
ひとまず画集として一読。影を感じるイラストが物語の印象や魅力をより強くしている。 一方で、綺麗なイラストなのだけど、人魚の頭身比率がおかしくて違和感があり、そこだけが残念…。2024/06/16
takakomama
9
支那の国の貴公子は、若くて博識で財産があって由緒ある家門の誉を受け継いだうえに、美貌と才智にも恵まれていました。放蕩と贅沢の限りを尽くしてしまい、毎日退屈で、阿片を吸っています。オランダ人から買った人魚の美しさに魅了されて・・・ 妖しくて耽美な世界。 2024/07/25