学校と日本社会と「休むこと」 「不登校問題」から「働き方改革」まで

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学校と日本社会と「休むこと」 「不登校問題」から「働き方改革」まで

  • 著者名:保坂亨【著】
  • 価格 ¥3,190(本体¥2,900)
  • 東京大学出版会(2024/06発売)
  • ポイント 29pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784130530972

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内容説明

学校に行かないのは「問題」?
身体を壊しても部活動に打ち込むのは「美しい」?

教育現場や社会を取り巻く「皆勤」の空気と、
ワークライフバランスを教育相談の第一人者と考える。

学校に行かないことが不登校として「問題」だと言われるのはなぜか。身体を壊しても打ち込んだ部活動が「美しい」のはどうしてか。多年にわたり教育相談に従事してきた著者がみた日本社会、はなはだしくは過労死にもいたる「皆勤」の空気と、それに囲まれた現代学校の姿を浮き彫りにする。


【序章より】
日本社会ではコロナ禍前から「働き方改革」が叫ばれていました。しかし、過労死・過労自殺が喫緊の課題と認識されるようになってから約30年、遅々として進まないようにも見えてしまいます。日本社会の働き方、特に長時間労働を変えるのにどうしてこれほど時間がかかるのかという疑問と、コロナ禍を経験しても「休むこと」についての意識・行動が変わらないことが私の中で結びついていきました。わかりやすく言えば、学校教育に原因があるのではないかということです。本書は、日本社会の長時間労働と学校教育の「欠席」を結びつけて考えるようになった道筋を記すことになります。


【主要目次】
序章 「休むこと」についての意識は変わってきたのか?

第Ⅰ部 日本社会と「休むこと」

第1章 「休むこと」についての意識変化
1「休むこと」は悪いこと?/2「過労死」は日本特有?/3「働き方改革」が始まる/4有給休暇の取得義務/5勤務間インターバルの努力義務化/6男性の育児休暇取得

第2章 日本社会の働き方
1半ドン?/2「24時間戦えますか?」/3「過労死」への注目/4首相も「過労死」/5自殺の増加と「過労自殺」への注目/6労働時間の減少とサービス残業/7電通第二事件の衝撃

第3章 長時間労働と勤務間インターバル
1国家公務員の場合/2 二つの「2024年問題」

第4章 教員の場合
1一年以上の休職者と教員の自死/2教員の「働き方改革」/3長期の病気休職取得者と早期退職者/事例研究から浮かぶ実態

第Ⅱ部 スポーツ界と「休むこと」

第5章 高校野球と「休み」
1高校野球の「休養日」/2「球数制限」の導入/3佐々木朗希選手の決勝「登板回避」/4「投げすぎ」は体によくない

第6章 近年のスポーツ界等の動向
1大坂なおみ選手の記者会見拒否/2バイルス選手のオリンピック決勝棄権/3水泳萩野公介選手の休養/4バスケットボール馬瓜エブリン選手の休養/5サッカー界

第7章 高校野球の今後
1 2023年春の全国大会とWBC/2「休養日」導入まで/3「球数制限」?/4監督の「休み」?

第Ⅲ部 学校教育と「休むこと」

第8章 皆勤賞という存在
1皆勤賞の消滅/2「ワークライフバランス」

第9章 「出席停止」という規定
1「出席停止」と皆勤賞/2「出席停止」と「勤務間インターバル」「球数制限」との共通性/3文部科学省の長期欠席・不登校調査における混乱

第10章  入学試験における「欠席」
1大学入試の場合/2高校入試の場合/3その他の試験における欠席及び追試

第11章  学校の部活動におけるガイドライン
1ガイドラインによる活動制限/2部活動の「休み」?/3部活動の位置づけ/4二つの「がんばる」

第Ⅳ部 「休むこと」について考える

第12章  「欠席」からみた戦後学校教育
1「学校は行かなくてはならない」という通念/2「学校を休むことは悪いこと」

第13章  具合が悪くても休まない学校教育
1「長期欠席」から取り出された「不登校」/2「学校を休んではいけない」という呪縛/3毎日学校に行く児童生徒/4「不登校」のグレーゾーン

第14章  「長期欠席」に注目しなくなった学校教育
1不就学への無関心/2一年以上居所不明児童生徒の見落とし/3虐待及び非行事件を契機とした「長期欠席」調査/4日本社会における「不登校」という認識とバックラッシュ

第15章 「休むこと」についてのルールと無知学
1高校の「欠席」についてのルール/2働く人にとっての「休むこと」についてのルール/3無知学という視点

第16章 学校教育における「しつけ(躾)」
1学校教育の社会化機能/2発達課題としての勤勉性再考/3年休をどのように使っていますか?/4「休まない美学」と「休む美学」そして再び「皆勤賞」

終章 欠席と遅刻

コラム 病気休暇と休職制度/過労死・過労自殺の認定/教員不足/マラソン円谷選手の自死/長期欠席・不登校調査の変更/大学入学共通テストの追試/フランスはいかにして「バカンス大国」になったのか/ガイドラインが求める大会の見直し

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

katoyann

21
日本企業の長時間労働に見られるような、「休まずに働く」というエートスが不登校を過度に問題視する社会的な規範を生み出しているとしている。長期欠席の研究で功績をあげた心理学者だが、教育史や社会学の研究知見を参考にしながら、皆勤賞が高く評価されてしまうような学校文化の背景にある日本社会の問題を分析している。休まず働くという倫理は高度経済成長を促したが、過労死や精神疾患の急増という人的被害も生み出している。子どもの内面の問題と考えられる傾向のある不登校から日本社会の課題を切り抜くという点が斬新だった。2025/03/24

TAK.I

17
学校に行かないのは「問題」なのか。身体を壊しても部活動、仕事に打ち込むのは「美しい」のか。本書は日本社会における「休むこと」について多角的に論じている。高度経済成長を遂げてきた裏には働きすぎの実態がある。コロナ以前から「ワークライフバランス」や「働き方改革」が叫ばれているが実態は…。日本社会の歪な文化が現代の子供達にも伝播しているのは大問題だ。しかしそれは裏を返せば多少無理してでも学校を休まないことが美徳とされ、「皆勤」の空気を蔓延させてきたことが原因だ。改めて「休むこと」について考えるきっかけにしたい。2024/07/13

てくてく

6
自分が中高6年間で休んだのは1日だけ(精勤賞)だったのは、家より学校の方が気が休まって楽だったからだとはいえ、学校や仕事を休むことは悪い事、といった価値観は自分にしみついてしまっていた。コロナ禍を契機に体調不良なのに登校・出勤することは周囲の感染リスクを高めるよろしくないこと、という感覚が定着し、それに学校や職場が対応していることは、おそらくは感染対策としても、過労死防止としても良いのだろう。そのあたりの社会の変化をまとめており、参考になった。2025/03/01

AyaZ

5
コロナ後のデータを含めて、働きすぎの日本社会、そして欠席できない学校について論じた本。働き方にういてはここ10年くらいでかなり意識の変化が起こっているし、コロナで学校における欠席の扱いが混乱したこともあり、この流れは一層加速していくのだろう、と感じた。2025/08/18

お抹茶

5
会社,学校,スポーツ界での休むことをデータで調査。全体的にもう少し深掘りしていればよいのでは。高校野球での投げすぎ問題は2020年前後に賛否に変化の兆しが見られたが,アメリカでは球数制限は当たり前。コロナ禍で体調不良でも入試の追試ができる時代になるかもしれないが,国家試験は非対応。日本中が猛烈に働いていた1970~1980年代に,子供は毎日学校に行かなくてはならないという観念が広がり,学校を休むことは悪いことという雰囲気になっていった。2024/07/16

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