汚穢のリズム - きたなさ・おぞましさの生活考

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汚穢のリズム - きたなさ・おぞましさの生活考

  • 著者名:酒井朋子/奥田太郎/中村沙絵/福永真弓
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 左右社(2024/05発売)
  • 蝉しぐれそそぐ!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~8/3)
  • ポイント 550pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784865284065

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内容説明

雑草、害虫、ゴミ、悪臭、腐臭、死、排泄、にごり、汚染──

汚穢(きたないもの、おぞましいもの)にかかわる体験や、それを避けようとする人間の行動を掘り下げ、人類学・倫理学・環境社会学などの視点から考察する。
生きていれば避けようなく生み出される排出物を、なぜ厭わしく思うのか。
それらを見えないように隔離し、清掃・美化することはある種の暴力ではないのか。
汚穢に触れたくない、また自分の汚穢を他人に感じとらせたくないという感覚をどのように捉え、付き合っていくことができるのか。
きたないもの、おぞましいものから見えてくる世界とは?
研究者11名とアーティスト3名によるエッセイとインタビュー。

目次

はじめに ──汚穢のリズムに感覚をそばだてる(酒井朋子)

I ぽたりぽたり ざわつく暮らし
だらしない ──生活の旋律(酒井朋子)
きりがない ──ゴキブリの足音が聴こえた朝(中村沙絵)
もつれる ──雑草との共生と競争(オスカー・レン)
整わない ──断捨離とミニマリストとゴミ屋敷(奥田太郎)

身体の境界を超えるロマンティックな瞬間│現代美術家・高田冬彦へのインタビュー

II きちりぴかり 清められ離される
浄化する ──ライプニッツのドイツ語改良論(古田徹也)
嗅ぎわける ──嗅覚の地理(原口 剛)
分かつ ──豚が「汚くなる」とき(比嘉理麻)
におう ──腐臭の境界(福永真弓)
濁る ──清濁併せ呑む(奥田太郎)

メスの匂い(市原佐都子)

III じわりぞわり 汚穢から生まれくる
笑う ──グロテスクな肉体の躍動(酒井朋子)
おぞましい ──死体にまつわる不死性(斎藤 喬)
もれる ──膜が食い破られること(藤原辰史)
巻き込まれる ──介助と排泄と幾つもの生(井上菜都子)

傷跡は人が生きてきた時間のかたち ──写真家・石内都へのインタビュー

IV そろりそろり 汚染の向こう側
かきまぜる ──にごりの海の透明度(福永真弓)
のぞきこむ ──農業危険物との遭遇(オスカー・レン)
ゆだねる ──よだれかけと「ちぐはぐなイメージ」(中村沙絵)

おわりに ──四つの旋律をからみあわせる(酒井朋子・奥田太郎・中村沙絵・福永真弓)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アナクマ

31
汚れとは、自身の内側から物理的・精神的に生じるものではないか。それを直視し交わることで開ける視座があるはずだ、という論考集。様々な境界線。雑草。農薬。断捨離、死体、介助。古民家暮らしでゴキブリ受容。◉戦前の沖縄では97%の人が養豚を行っていた。その研究から「豚が汚いから遠ざけられたのではない。人から遠ざけられた結果、汚くなったのである(概念が生起した)」「汚くなる」ことから始めよう、と著者。◉自身の手を汚すこと。自然資源/生命を奪うこと、原罪を負うことをわざわざやってみる体験会。もっと前景化していい点だ。2024/05/21

owlsoul

10
我々は日常の秩序を維持するために汚穢を遠ざける。排泄物は瞬時に流され、ゴミは回収され、害虫は駆除される。生理的嫌悪感に裏打ちされたその強力な浄化圧は、ときとして暴力的・差別的に不浄なものを峻別し、排除する。故に、自身から溢れる汚穢は他人には秘すべきものとなるが、一方でそれの共有は親密さの証やエロティックな行為ともなる。豚と一緒に暮らす人々が、生活環境を区別した途端、豚を汚く感じはじめるように、我々の生理的嫌悪感は文化にも左右されるようだ。だとすれば、汚穢の峻別に対する倫理のようなものも必要とされるだろう。2025/02/11

くくの

9
汚れに関する16のエッセイアンソロジー。虫、文化、肉体、臭い、環境と多様な切り口から語られる汚れ。共通するのは汚れを感じるのはそれだけ汚穢と近づいているということ。その近さは忌避されるものとなり、反対に愛着を感じる対象ともなる。穢れに魅了されるのはなぜなのかと知りたくて読んだ。その理由はきっと、汚穢を語るとはどうしようもない生を語ることであり、生きている以上避けられない。それ故に穢れが強い場所には同時に強烈な生の存在があるからなのかもしれない、なんて思った。2025/04/23

於千代

2
人類学・哲学・倫理学といったアカデミックな視点だけでなく、演出家や写真家など多様な立場から「汚穢」について論じた一冊。 日常に潜む「汚さ」や介護、環境問題など、さまざまな切り口からの考察が展開され、「汚穢」について徹底的に考えさせられる。全編通じて興味深いが、特に印象に残ったのは沖縄の豚の話。かつては当たり前だった豚の匂いが、産業化によって隔離されると「臭い」ものになっていく。 我々の社会は、「綺麗さ」を追求するあまり、逆に「汚さ」を生み出しているのではないか、そんな風に思わされた。2025/03/07

バニル

1
ガチでめちゃくちゃ面白かったです。あくまでエッセイ集であるため、汚穢とは何なのか、最後は自分で考えることになります。今の自分なりの答えとしては、汚穢は社会の円滑な運営のために清潔さから切り離されたものなのかなって感じです。でも、人それぞれの答えがありそうだし、数年後の自分も異なる答えを出してそうです。 個人的なお気に入りは、虫の話ともっさり本棚の話です。2025/07/23

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