内容説明
「とらすの会」の人は皆優しくて、居心地が良かったです。特にマレ様なんて嘘みたいに綺麗で、悩みを聞いて抱きしめてくれました。でも“会議”では、誰かが「許せない人」への恨みをマレ様に訴えて、周りの人たちも口々に煽って……翌日、その人は死体で見つかるんです。それが怖くて行かなくなったら、裏切者って責められて……。時間がないです、私、殺されます──錯乱する少女は、オカルト雑誌のライター・美羽の眼前で、爆発するように血肉を散らして死んだ。スクープを狙った美羽は「とらすの会」を訪ねるが、マレ様と出会うことで想像を絶する奈落へと突き落とされる──。/解説=織守きょうや
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
73
相変わらずのどろりとした気持ち悪さ。惨劇の中心には美しすぎて畏怖の念さえ呼び起こすほどの美少年の存在。彼は神なのか悪魔なのか?都内で相次ぐ凄惨な連続殺人を調べることになったライターの美羽。SNSでたどり着いた情報提供者の少女はインタビュー中に美羽の目の前で内側から爆発するという異常な死を遂げる。スクープを狙い少女が通っていた「とらすの会」に潜入する美羽。そこで彼女はマレ様と呼ばれる美しく神々しい人物に心酔し人生を狂わされていく。そして奈落の底にあるものは…。「美しい異常」とはまさに言い得て妙の物語。2024/07/20
おうつき
21
ずっと読もうと思っていた作家の作品だけど、面白かった。得体の知れない、近づいたらいけない何かに徐々に迫っていく過程が不穏でありながら、怖いもの見たさで読み進める。人間の嫌な部分を見せつけられるような描写も飲み込んでしまう程に勢いのある後半の展開はページを捲る手が止まらなかった。どうなってしまうのか展開が全く読めなかったので、ラストは声が出そうになってしまった。2024/07/02
ダケちゃん
17
芦花公園先生の宗教?ホラー作品。 やはり芦花公園先生の作品は気持ち悪い。そこに宗教要素と美少年要素を絡ませたら尚更だ。 章ごとに一人称が固定されて物語が進んでいくが、基本的に不幸な心情が綴られているので胸が締め付けられるというか胸糞悪いというか読み進めるのがきつい。。 それでもスラスラ読めてしまった本作は芦花公園作品の中でも読みやすい部類だと思う。 この作品も他の作品キャラの関係者?の物部さん出てきた!こういった作品間リンクも個人的には好き。 この作品出てきた希彦くんも他の作品出てくるんかな。。。怖っ!2024/08/10
なつめ
16
傷ついた人たちの残虐性。そこを刺激し誘導するマレ様。人の悪は果てしなく悍ましい存在もまた果てしない。マレ様は、思ったより怖くはなかったけれど、ヒトの怖さは際立っていた。2024/07/26
さなこ
12
読むのに非常に苦労しました…内容ではなくて、図書館から借りてきた本書に煙草の臭いがどうしたらこんなに?ってくらいたっぷり染み付いていたので。我慢して数ページ読んでみたけど、鼻と頭が痛くなって断念。新聞紙の力を借りて期限ギリギリで読了。内容は読みやすくて一気読みでした。フリーライターやとらすの会の信者、気持ちは何だかわかるんです。そこで罪悪感を覚えるのか暴走するのか個人的にはどっちなのか。ラストは何となく読めたけど、フルネームを名乗った際の苗字には驚きでした。やはり取り込まれると逃げられないのですね。2024/09/01