内容説明
いまの日本人に一番足りないものは何だろうか? 本書では、“モヤモヤを抱えた編集者との往復書簡”によって、内田樹が「勇気」の意味を考察します。ジョブズ、フロイト、孔子、伊丹万作、河竹黙阿弥、大瀧詠一、パルメニデス、富永仲基……思いがけない方向に転がり続けた二人のやりとりは、結論にたどり着くことができるのか。読み終わる頃には、あなたの心はフッと軽くなってるに違いありません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
69
勇気、正直、親切。そして、自分のヴォイス。どれもこれも、内田節でありながら、自分の腑に落ちる。もやもやっとしているものを、言語化してくれるのが内田先生。孤独を恐れないこと、流れに流されないこと、周囲の気配を感じ取ること。そして、まとまるのを待たずに、穏やかに表現すること。決して簡単ではないが、ますます大切になってきた視点・思想・哲学だと思う。その根っこにあるのが、自分の視点をどこに置くのか、どこへ向けるのかだと思う。まさに、勇気をもらった1冊。2024/07/20
tamami
66
内田さんの著書を年に何冊か読んでいる。書かれたことの大抵は忘れてしまうのだが、日常の中でフッと「そう言えば内田さん、こんなことを言っていたな」と思い出す瞬間があって、判断の拠り所にすることがある。本書も既刊の著作と同様、いつもの内田さんの言行録という感じであるが、記された警句や事例を、先々効いてくる薬のように服用する。本書は内田さんが以前から知り合いの編集者との往復書簡集という形で、「今の日本人に一番足りないもの・・・勇気」について書かれているが、彼一流の引用術と比喩力の賜で、あっと言う間に読めてしまう。2024/07/19
ムーミン
37
図書館本でしたが、線を引きたい箇所がたくさんあって、自分で購入したいと思いました。2024/08/27
kan
27
内田先生はいつも一貫して勘とか気配とか直感のようなもの、言葉で表しにくいものを大切にしなさいとおっしゃられ、頭をぐるぐるさせてくれて、ふとした時に、ああそうかこういうことか、と腹落ちする体験へと導いてくれる。今回の勇気論も、武道家哲学者らしく、勇気・正直・親切の核心、正義との違い、勇気と友情の相性の悪さ、心の声に耳を傾けること、察知する力をつけることなど、人間が大切にしなければいけない根幹をあらためて説いてくれる。コスパ重視、タイパ意識、意地悪な社会へ進みがちな今だからこそ、読んでよかった。2024/10/27
tokko
25
「勇気」というキーワードを軸に、内田先生の思想が展開されます。着地点はいつも内田先生があちこちで書かれているものですが、「勇気」からどうやってそこに繋がっていくのかを読むのが楽しいです。確かに今の日本人には「勇気」が足りません。そして「正直」はそれほど徳目として奨励されなくなっているように思います。(「不誠実」とか「卑怯」がそれほど蔑視されなくなったというか)この本を読めば、生きる「勇気」が湧いてくるのではないでしょうか。2024/07/03