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内容説明
グローバル化がますます深化拡大するなか、世界の政治は外国人排斥や反グローバリズム、そして時には戦争という、しばしば「ナショナリズム」と結び付けられる現象に彩られている。このような動きに対して「保守化」「右傾化」といった表現がされることがあるが、それは適切なのか?経済、環境、ジェンダーをはじめナショナリズムをめぐる政治イデオロギー間の関係性をときほぐすことで、現代社会の複雑な政治意識を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
70
学生時代沖縄を研究対象にしたこともあって、ナショナリズムというやっかいな問題には関心があった。本書は政治学的手法による統計分析を利用しながら、ナショナリズム(帰属意識の面と排外的な面を考慮)と様々な社会的傾向を国ごとに比較して、その多様性を浮かび上がらせている。日本ではナショナリズムと保守、あるいは「右」は相関しているので、他国も同様に考えがちだが、真逆の国すらあるのだ。この点は偶然昨日の朝日新聞のオピニオンで著者が書いていたことであり、急いで読んだ。元々多様なものとして考えていたので意外性はなかった。2024/08/07
元気伊勢子
9
政治に関しては無知なのだが、今年は、総裁選があるから総裁選をきっかけにして、政治のニュースを追ってみようと思っていたので、タイムリーな内容だった。分からない部分もまだまだたくさんあるが、分かったこともあったので一歩前進した。2024/09/13
ゆうすけ
8
相当に骨太な政治学の新書でした。データ分析に基づいた実証研究を俎上に、「政治的に右か左かということと、ナショナリズムはあまり関係がない」ということを縦横無尽に論じています。そして右と左というカテゴリーがいかに国よって違うのか。最後に「「リベラル」という言葉を左派的含意のみで用いたり、ナショナリズムを排外主義とほぼ同義で使うような用法は、相当程度に特殊アメリカ的な用法であって(中略)困惑することも多い」とあるように比較政治学の重要性を改めて痛感した次第。2024/08/12
しゅー
8
★★★政治の「右」と「左」の説明に、かっては政治・経済の二軸で分類して四象限で語る手法が一般的だった。しかしいまや社会文化的な態度を考慮に入れなければ、実態を捉えられなくなりつつある。著者は「ナショナリズム」を補助線とし、そのナショナリズムを「帰属意識」「愛国心」「排外主義」の3つの要素から構成されるものとして議論を進める。俗な議論では「ナショナリズム=愛国心=熱狂的な右翼」みたいな図式で語られるものの、ことはそう単純ではない、というのがポイントだ。ナショナリズムは「伝統」と「平等」という2つの顔を持つ。2024/06/20
リットン
7
ナショナリズムと聞くと、保守派で右派なイメージだったけど、国によっては、LGBTQの権利保護など社会文化的な左派とナショナリズムが結びついているケースもあるというのは意外だった。そもそも、右と左といっても、経済的な面と社会文化的な面があり、異なっているから、「xx国で右派政権が誕生」とニュースがあっても、右派だからどうなのかは、その国、その政権をちゃんと知らないとわからないんだな。それに、そりゃ、保守派と言ってる時点で相対的なもので、なにを保守するの?いつ基準で保守なの?とかにも依るよなとも思った。2024/07/05
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