内容説明
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の大人の続編本!
「自分が生きやすい」社会に必要なのものとは?
感情的な共感の「シンパシー」ではなく、
意見の異なる相手を理解する知的能力の「エンパシー」。
この概念を心理学、社会学、哲学など様々な学術的分野の研究から繙く。
うまく活用するために、自治・自立し相互扶助のアナキズムを提唱。
新しい思想の地平に立つ刺激的な一冊。
他者はあまりに遠い。“共感”だけではたどり着けない。
ジャンプするために、全力で「考える」知的興奮の書!
――東畑開人
※この電子書籍は2021年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
40
アナーキズムもエンパシーも、表層的な意味でしか捉えていなかったことに冷や汗。しかも最も遠い概念と思いきや。大学のテキストもエンパシーの解説は数行に過ぎなかったと記憶。氏の著作を読むと、日々ぼさっと生きていることを猛省するのだが本作も然り。再読必須。2024/06/06
阿部義彦
24
文春文庫新刊。ブレディさんの『僕はイエローで~』は単行本で直ぐに読みました。なんか一時時代の寵児扱いでメディアにもよく出てましたよね。そんなみかこさんの続編本でしたが、結構思想家の名前とその理論の紹介が多く、前作が売れたからと言って大衆に阿らない態度に好感を持ちました。私にとっても、読むのに時間がかかりました。エンパシーとアナキズムの話が一番得るところがありました。「エンパシーは我々が一つではなく、複数の世界に住むことを可能にしてくれる」アナキストの金子文子が、投身自殺をしようとしたエピソードが素晴らしい2024/05/22
魚京童!
11
時期が時期だったらハマる本なのかもしれないけど、今はそんな気分でもなかった。面白くなかった。今は、追われていて、愉しくない。そして、やることは決まっているけど、やりたくない。だからこうして逃げている。最近、秋になったから飲めない。飲んでも面白くない。その結果、だらだら生きている。それはそれで楽しいけど、愉しくない。面白くない。考えたくない。2024/11/09
Inzaghico (Etsuko Oshita)
9
他者の靴を履くだけでは、どんどん他者に引きずり込まれて自分がなくなってしまうし、かといってアナーキーで好き勝手にしていると、他者を見殺しにすることになりかねない。アナーキーさとエンパシーの両方を持つことが大事だ。エンパシーはいいものでも悪いものでもないし、アナーキーも言葉が独り歩きしているほど悪いものでもない。「情けは人のためならず」というのが、日本語では一番近いのかもしれない。2024/08/25
takakomama
7
他者の感情や経験などを理解する能力のエンパシーについて、多くの本や学者の言葉を引用して論理的に考察。エンパシーにも長所と短所があり、万能ではない。他者に支配されてしまう危険性もある。このところ、私は相手にも事情があると配慮して、人間関係に疲れているけれど、他人の靴を履いたつもりで想像してみても、思いこみかもしれない。すべてを察するのは無理。本当のことは、言わないとわからないですね。2024/06/18