日本経済新聞出版<br> 金利 「時間の価格」の物語

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日本経済新聞出版
金利 「時間の価格」の物語

  • ISBN:9784296115815

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内容説明

○博覧強記の金融ジャーナリストが膨大な文献を渉猟し、古代バビロニアから、中・近世ヨーロッパ、現代の日本、アメリカ、欧州、中国にいたるまで、金利の歴史絵巻を豊富なエピソードでカラフルに描き出す。そして、21世紀の超低金利時代における金利の本質、金融政策の有効性を問い直す。歴史を通じて現代を問う骨太で出色の読み物。

○金利とは何か? 利子は正しいものか? 適正な金利の水準とは? 何が金利の水準を決めるのか? 金利と経済成長の関係は? 「時間の価格」ととらえるのが最も妥当である金利は、生産、消費、投資、為替レートなどあらゆる経済の動きにかかわる。

○だが、歴史上、そして現代においても、金利は幾度も大きく低下し、そのたびに経済は不安定化し、乱気流に呑み込まれてきた。1920年代の大恐慌、1980年代の日本のバブル、2008年の世界金融危機はその悲惨な典型だ。そして、中央銀行の物価安定政策のもとで、主要国の金利は歴史上かつてないほど沈み込んできた。適切な金利がなければ、生産、貯蓄、投資すべての経済行動の価値を計るモノサシを失うことになる。資本主義経済は市場が定める金利がなくても繁栄することができるのか? 

〇本書は、極端な低金利は資産価格インフレをもたらすだけでなく、経済成長率の低下、不平等の高まり、債務の累積、年金危機、不動産・資産バブルなど、経済全体にいかにダメージを及ぼすかを明らかにする。著者は、中央銀行による低金利政策はその意図とは逆にかえって経済を損ない、「隷従への新たな道」につながると警鐘を鳴らす。

目次

序 章 アナーキストと資本主義者
 第I部 金利の歴史
第1章 生まれはバビロニア
第2章 時間を売る
第3章 利子の引き下げ
第4章 キメラ
第5章 ジョン・ブルは二%に耐えられない
第6章 気付けの一杯
 第II部 低金利はさらに低い金利をもたらす
第7章 グッドハートの法則
第8章 長期停滞
第9章 バーゼルの鴉
第10章 不自然淘汰
第11章 発起人の利得
第12章 大きく、膨らんだ、醜いバブル
第13章 あなたのお母さんは亡くならなくてはいけません
第14章 信用を食べてはいかが
第15章 不安の対価
第16章 錆びつく貨幣
 第III部 ビー玉ゲーム
第17章 諸悪の根源
第18章 金融抑圧と中国的特色

終 章 隷従への新たな道
追 記 さかさまの世界

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

97
この著者の考えでは、副題にもある通り金利は「時間の価格」ということで金利についての昔からの論争から最近までの動向や理論をわかりやすく書かれています。「バブルの歴史」という本も書かれておりそれも読んでいたのですが若干かぶるところもあったりしますが、金利(ある意味利子論ともいえますが)についての経済て読み物としては私は満足しました。経済学的素養があれば結構楽しめる本だという気がしました。2024/11/21

koji

24
想い出話から始めます。長年中小企業融資専門の金融機関に勤めていましたが、今でも忘れないのは、若い時読んだ中小企業経営者の著書の中で「(私の先輩に)この融資は貴方にお金を貸しているのではなく、時間をお貸ししているのです」と言われ目から鱗であったと語っていたこと。私にとっても金融の何たるかを感じた瞬間でした。これが本書を読んだ動機(あの時の初心を深彫りする事)。本書冒頭、フランスの2人の国会議員の金利論争(金利は、盗みか時間価値の源泉か)から始まる序章、第一部は読み応えがあり、ここだけで満足です。なお私は後者2024/10/01

きみどり

7
実に5000年前もの昔から、人間は金利の概念を用いて経済活動を行っていた。ハムラビ法典からチャイナショックまで、連綿と続く金利と金利政策の失敗の歴史。チューリップバブルに南海バブルにミシシッピバブルに…人類懲りんなw ゼロ金利の日本はさんざんな言われよう。 相場が荒れ始めた7月中旬に読み始め、いよいよ終盤に差し掛かったところでまさかの日銀利上げ…からの大暴落…からの大リバウンドという壮大な社会実験(?)の中で読み終えました。あー疲れた。 利上げするとしても2025年からだと思ってたんだけどなぁ。2024/08/07

こだまやま

5
初学者には、雲を掴むような長く苦しい読書体験だった。 序盤は金融の歴史、後半は主にリーマンショック後の世界的金融緩和への反リフレ派的批判。バブルを誘発する可能性、ゾンビ企業による経済の不活性化などの説明が長い。 そもそも雇用と物価にだけ責任を持つはずの中央銀行の政策が株式市場に与える影響が強すぎ、リフレ派的政策が取られやすくなるのは宿命なのでは。結論、全ての通貨は弱くなり続けるというのが唯一正しい気がしてならない。 個人的には、定期預金で4%あって投資なんていらないな、程度の金利のある世界がいいな。2024/10/12

どうろじ

4
低金利政策に対する非難がこめられた経済読み物。ハイエク図書賞受賞作と帯にあるだけことはある内容だ。低金利による金融業界優遇とその低金利の恩恵をうける一部の大企業らによって「隷従」への道が再来すると説いている。低金利が労働者の老後資金を奪っているという視点は新鮮だった。そもそも預金金利が十分ならNISAやiDecoは無用な仕組みなのだ。2024/07/26

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