内容説明
才能とは何か? ビジネスパーソン必読の圧倒的教訓。ノーベル賞を獲得するほどの研究を成し遂げた「天才」は、素晴らしい人格者と思われがちだ。だが、歴代受賞者のなかにはヒトラーの写真を誇らしげに書斎に飾っていた「ナチス崇拝者」もいれば、妻と愛人と愛人の子どもと一緒に暮らした「一夫多妻主義者」もいる。光るアライグマ(エイリアン)と会話を交わした、という「薬物中毒者」や、「アルコール依存症」で売春街から大学に通った者、超越瞑想に「オカルト傾倒」して周囲を唖然とさせた者も。どんな天才も、輝かしい「光」に満ちた栄光と、背面の暗い「影」を併せ持っている。本書では、著者が独特の「狂気」を感得した受賞者23人を厳選。必ずしも幸福とは言い難い、天才たちの数奇な人生を辿る。 【本書に登場するノーベル賞受賞者たち】フリッツ・ハーバー/フィリップ・レーナルト/ヨハネス・シュタルク/ニールス・ボーア/オットー・ハーン/ヴェルナー・ハイゼンベルク/マックス・フォン・ラウエ/アルベルト・アインシュタイン/エルヴィン・シュレーディンガー/ポール・ディラック/エンリコ・フェルミ/ヴォルフガング・パウリ/エガス・モニス/ライナス・ポーリング/ウィリアム・ショックレー/ジェームズ・ワトソン/リチャード・ファインマン/ニコラス・ティンバーゲン/ブライアン・ジョセフソン/キャリー・マリス/ジョン・ナッシュ/リュック・モンタニエ/ロジャー・ペンローズ アカデミー賞作品で話題のオッペンハイマーも関連して登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
261
ナチス・ドイツの落とした影は、ここでも小さく無いのぅ。そしてユダヤ(人・教)滅茶滅茶強い。変人エピソードは寧ろ箔が付く感じですが、妬みや怨みのエピソードはあかんねぇ。その他にもヤバい目のもありますが。ノーベル賞受賞者も人の子。特別では無いのかも。ただ「ノーベル病」に罹患して、同業者から批難されるその後の人生も辛いね。ここで紹介されている人が別の章で横断的に登場するのが良いね。類は友を呼ぶ。天才達に依るコミュニティは羨ましい限りです。さて、第二巻はフィールズ賞受賞者の狂気ですかね?2025/01/19
trazom
119
23人のノーベル賞受賞者に対し、幼少期の様子(殆どが規格外の天才)、研究業績、女性関係、人間関係などを極めて要領よくまとめた読み物。「光と影」と言っても、狂気である影の部分が印象に残ってしまう。特に、ナチスに魂を売り、ドイツ物理学会を恐怖に陥れたレーナルト博士とシュタルク博士には、背筋が寒くなる。ノーベル賞受賞者が万能感を抱くことによって、専門外で奇妙な発言をするようになる症状を「ノーベル病」と呼ぶらしいが、多くの天才が、晩年に、常軌を逸する発言や奇行で社会から批判を浴びていた事実を、複雑な思いで読む。2024/05/24
まーくん
92
ノーベル賞受賞者23人の人生の光と影を追う。幼少時から晩年にわたる伝記のようなものだが一般の伝記とは異なり影の部分、狂気についても語る。受賞分野は物理学・化学・生理学医学学。前半は物理学者が多く、大部分がドイツ・オーストリアのユダヤ人でナチス絡みの話が多い。ほとんどが幼少時から抜群の才能を示し「飛び級」で大学・大学院に進み、22,23歳で博士号を取得している。本書で初めて知ったのがナチスに入れ込んだレーナルトとシュタルクの話。恐ろしいまでの憎悪と狂信。女性関係にだらしないのはこの種の天才たちの特技か、⇒ 2024/08/14
たまきら
47
読み友さんの感想を読んで。有名なエピソードも多く既視感も覚えたが、冷静で良く整理された著者の文章のおかげで、くみ取れるものも多かった。戦争、幼い頃の不幸、天才であるが故の孤独。こうやって23人を同時に紹介しているからこそ読み取れるパターンを比較したり共通点を探したりして楽しませてもらった。個人的に大好きなファインマン氏の章は理屈抜きで一番。「ノーベル残酷賞を授与されるべき」と言われたディラック氏の壮絶な半生と、押しかけ女房と幸せに暮らした晩年エピソードにはほっこり。良かったね…ノーベル鈍感賞をあげたいよ♡2024/10/17
33 kouch
39
人の良さそうな紳士に見えたアインシュタインもしっかりイカれていて安心する。研究者、学者は内に籠もっているせいか、妬みや恨みが増幅しやすいのか(偏見?)。変わっているだけでなく随分と攻撃的な人格が多いように感じる。一方で純粋に世のため、世界平和のために尽力する人も多く、これがときに戦争や政治に利用されてしまうのは悲しくも感じた。そして一世を風靡した天才達も最後は意外にも孤独なことが多く、ここにも感慨深いものを感じた。ノーベル病を否定しようとした大槻教授がよい。2025/03/23