清代知識人が語る官僚人生

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清代知識人が語る官僚人生

  • 著者名:山本英史【著】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 株式会社東方書店(2024/04発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784497224057

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内容説明

清代の知識人がめざした官僚人生とは何だったのか

科挙に合格できる受験能力と官僚として生身の人間を相手に機敏に対処する実務能力とはまったく性質の異なるものであり、そこでの成功、というより失敗しないことは科挙に合格するよりも難しかった。そこで、科挙に合格して、知県という県の長官を担当し、役人のためのハンドブックである官箴書『福恵全書』も著わした黄六鴻(こうりくこう)なる知識人を本書のナレーターとして、順風満帆あるいは「治国平天下」の官僚人生を手に入れるのにはいかなることが重要だったのかについて語ってもらった。

【著者】
山本英史
1950年、滋賀県草津市生まれ。東洋文庫研究部研究員、慶應義塾大学名誉教授。博士(文学)。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。山口大学人文学部講師・助教授、慶應義塾大学文学部助教授・教授を経て現在に至る。専門は明清史・中国近代社会史。主要著作として『郷役と溺女――近代中国郷村管理史研究』(汲古書院、2021年)、『赴任する知県――清代地方行政官とその人間環境』(研文出版、2016年)、『清代中国の地域支配』(慶應義塾大学出版会、2007年)などがある。

目次

第一章 官僚への道
第二章 官僚人生の始まり
第三章 知県という職業
第四章 知県の人間対応
第五章 黄六鴻の事件簿
第六章 その後の人生

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

16
清代の官箴書『福恵全書』を中心にして見る地方官のキャリアと生活。科挙受験から始まり任地での知県の仕事ぶり、官吏同士の関係、そして離任までを解説。正規の役人だけでなく胥吏や衙役、幕友の生態についても紙幅を割いている。清初には挙人止まりでも知県として任用される道があったというのが意外。本書で取り上げられている黄六鴻は会試には受からなかったのに、後年会試の同考官を務めているのも思しい。知県や衙役などは中国時代劇でも登場することが多く、鑑賞のうえで必要な知識を提供してくれるだろう。2024/04/17

電羊齋

15
清代の官箴書(役人向けハンドブック)著者の黄六鴻がナレーターとなり、科挙受験、知県着任から知県としての職務、そして離任までを語り、そこから清代の官僚制、官僚の人生、地方行政の実態を明らかにしたユニークな本。やっぱり地方官にとって上司、地元の吏役(胥吏・非正規の役人)や郷紳の扱いは悩みの種だったらしい。民との関係の理想と現実との差も垣間見える。官僚、吏役、郷紳の生態について詳しく書かれており、清代という時代を知る上で非常に興味深い。役人たちの人間関係の機微などは今の日本にも通じる面があり面白かった。2024/05/04

つまみ食い

6
宮崎市定の描いた地獄のような科挙に受かったら安泰…かというとそんなことはなく、むしろ激しい出世競争と地方統治の困難さが待ち受けている。そんな官僚人生を実在の官僚で成功し、官僚生活のノウハウ本を遺した人物の視点で一人称で書いた本。語り口も平易で面白い。2025/03/12

tokumei17794691

4
・「中華モノの創作者は読んだ方が良い」とのXが流れてきたので購入。少し高かったが、確かに一読の価値あり。・皇帝、宰相、将軍の中国史本はそれなりにあるが、地方官を歴任した官僚の人生を、本人の口から平易な文章で語らせたのがすごい。・「あとがき」で江戸時代の奉行所との対比が強調されていた。それならもう少しその対比が強くても良いのでは?・科挙の出題と、官僚としての実務能力・交際術は直接関係なさそう。それなら、主人公黄六鴻が、どのように官僚の実務能力・交際術を会得したかを、もっと踏み込んでほしかった。2024/06/09

しょうじ

3
清の時代に科挙を経て官僚になるとはどういうことなのか、知っているようで知らなかった。官僚になるには県・府・院の試験を通過し生員という儒学研修生のような官僚末端の身分を得る。その後、郷試という試験(科挙)を受験・合格し挙人という官僚資格を得る。挙人は更に会試を経て貢士になり殿試を経て進士になるという。挙人の身分で志願すれば、知県(現代の市程度の首長)になれる。知県はその行政単位での税務や裁判など全般を取り仕切る。地方行政単位は省・道・府・県の順。県の首長の知県でも皇帝の代理という心構えだったという。2024/08/04

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