講談社現代新書<br> 体験格差

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講談社現代新書
体験格差

  • 著者名:今井悠介【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 講談社(2024/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065353639

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内容説明

習い事や家族旅行は贅沢?
子どもたちから何が奪われているのか?
この社会で連鎖する「もうひとつの貧困」の実態とは?
日本初の全国調査が明かす「体験ゼロ」の衝撃!

【本書のおもな内容】
●低所得家庭の子どもの約3人に1人が「体験ゼロ」
●小4までは「学習」より「体験」
●体験は贅沢品か? 必需品か?
●「サッカーがしたい」「うちは無理だよね」
●なぜ体験をあきらめなければいけないのか
●人気の水泳と音楽で生じる格差
●近所のお祭りにすら格差がある
●障害児や外国ルーツを持つ家庭が直面する壁
●子どもは親の苦しみを想像する
●体験は想像力と選択肢の幅を広げる

「昨年の夏、あるシングルマザーの方から、こんなお話を聞いた。
息子が突然正座になって、泣きながら「サッカーがしたいです」と言ったんです。
それは、まだ小学生の一人息子が、幼いなりに自分の家庭の状況を理解し、ようやく口にできた願いだった。たった一人で悩んだ末、正座をして、涙を流しながら。私が本書で考えたい「体験格差」というテーマが、この場面に凝縮しているように思える。
(中略)
私たちが暮らす日本社会には、様々なスポーツや文化的な活動、休日の旅行や楽しいアクティビティなど、子どもの成長に大きな影響を与え得る多種多様な「体験」を、「したいと思えば自由にできる(させてもらえる)子どもたち」と、「したいと思ってもできない(させてもらえない)子どもたち」がいる。そこには明らかに大きな「格差」がある。
その格差は、直接的には「生まれ」に、特に親の経済的な状況に関係している。年齢を重ねるにつれ、大人に近づくにつれ、低所得家庭の子どもたちは、してみたいと思ったこと、やってみたいと思ったことを、そのまままっすぐには言えなくなっていく。
私たちは、数多くの子どもたちが直面してきたこうした「体験」の格差について、どれほど真剣に考えてきただろうか。「サッカーがしたいです」と声をしぼり出す子どもたちの姿を、どれくらい想像し、理解し、対策を考え、実行してきただろうか。」――「はじめに」より

目次

■はじめに
子どもの必需品とは何か/見過ごされてきた「体験格差」/本書の構成
■第一部 体験格差の実態
「体験」がなぜ重要なのか/小4までは「学習」より「体験」/初の「体験格差」全国調査/体験は贅沢品か
1.「お金」と体験格差
「体験ゼロ」の子どもたち/体験にかかる値段/体験の「提供者」ごとの違い/体験をあきらめさせるもの
2.「放課後」の体験格差
スポーツ系でも文化系でも/人気の水泳と音楽で生じる格差/子ども目線で「放課後」を考える
3.「休日」の体験格差
自然体験も居住地よりお金/旅行の格差/近所のお祭りにすらある格差/「楽しい思い出」があることの意味
4.「地域」と体験格差
都市部と地方の体験格差/より細かく「地域」を見ていくと
5.「親」の体験格差
「親の体験」と「子どもの体験」/「あきらめさせた」と感じる背景
6.体験格差の「現在地」から
「無理をする」か「あきらめる」か「求めない」か/「現在地」の先へ
■第二部 それぞれの体験格差
事例1:サッカーがしたいです/子どもは親の苦しみを想像する
1.ひとり親家庭の子ども
事例2:体験は後回しに/事例3:最低賃金で働く/事例4:自転車も買えない/貧困と孤立の中を生きる親子
2.私が子どもだった頃
事例5:泣きながらやったピアノ/事例6:アウトドア系は行ったことがない/過去と現在、未来
3.マイノリティの子ども
事例7:障害のある子を育てる/事例8:ほかの子にできることができない/事例9:5人の子と海や山には行けない/選択肢が狭まっていく要因/体験の場をより包摂的に
4.体験の少ない子ども時代の意味
事例10:子どもの頃は買えなかったピアノ/子どもたちから何が奪われているのか
■第三部 体験格差に抗う
1.社会で体験を支える
体験の優先されづらさ/5つの提案/子どもへの経済支援/体験と子どもをつなぐ/体験の場を支える
2.誰が体験を担うのか
小さな担い手たち/自分の暮らす地域で
■おわりに
■参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あすなろ

109
子供の体験格差とは。子供にとって体験は必需品か贅沢品か宝か。体験とは実に様々な概念。スポーツ・文系的習い事もそうだし、旅行やキャンプもそう。それらを子供は好奇心の赴くまま若しくは好奇心を持ち発見ある様享受するのが大事だと僕は思う。それを阻害する要因は、収入・時間・親の過去の体験経験差・都市部と地方の差・家庭環境差等だと記す。特に収入差に依るものは、子の体験ゼロの割合で導けば2.6倍にも及ぶそう。年収300万未満家庭と600万以上家庭のと比。我が家は体験させられる事は何事も体験いう両親の方針で子を育てている2025/03/02

たかこ

70
「教育格差」ではなく「体験格差」。SES(Socio-economic Status)と言われる、子ども本人に変更できない初期条件である出身家庭の社会経済的地位によって学力や最終学歴などの教育成果に差がある傾向を「教育格差」と言う。体験格差も同じ傾向があると思うが、それに加え体験格差は、親がどういう体験を経験して来たかにも寄る。親自身が「体験ゼロ」の場合は子どもも「体験ゼロ」である割合が5割を超えるというのは驚きだった。地域格差も切実。それにしてもシングルマザーの貧困の多さは読んでいて胸が苦しくなる。 2024/09/12

yunyon

59
子どもの頃、バレエを習ってる友達について行き、一緒に習おうと言われたが、親にダメって言われた。理由は覚えてないが多分、お金だと思う。昭和のバレエは富裕層の習い事だった。兄は野球をやってて、兄の野球の当番につきそう母にいつも連れ回されていた。私は同じような付き添いの兄弟姉妹とグランドで遊んでた。今思えば、私はバレエやらせてもらえないのに…理不尽だったな。昔も今も大筋は変わらない。子どもがいてもアウトドア苦手夫婦でキャンプはしない、スキーもスノボもしないから、その文化は我が家はなし。それも格差と言われるのかな2025/01/29

ミキ

50
2024-77:体験が贅沢ではなく必需品とまず私の中で捉えられていないので、素直に受け取るのが難しかった。障害児、兄弟児、多産家庭は同列に語るべきではないと思った。正直、自分が払った税金が、よその家庭の子どものレジャーに使われていたら仕事へのモチベは下がる。2024/08/22

レモン

41
すべての子どもが貧富の差に関係なく、体験の機会を与えられるべきと訴える著者。海外旅行はともかく、部活動にあるようなスポーツや音楽に関しては子どもの意欲のままにやらせてあげられるようにすべき。少子化が加速するにつれ、貧困層だけでなく中流層家庭の子どももどんどん体験の機会は奪われていくのだろう。家の前で遊ぶことすら気軽にできなくなった昨今、大人が意識的に体験の場を与えていかなければならない。貧困に限らず、特に子どもに関わる問題は自己責任で片付けられないはずだが、そのような意見も少なくない点が日本らしい。2024/12/22

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