内容説明
中国から西洋へ、私たち日本人の価値基準は常に「西側」に影響され続けてきた。貨幣経済が浸透し、社会秩序が大きく変容した18世紀半ば、和歌と古典とを通じて「日本」の精神的古層を掘り起こした国学者・本居宣長。波乱多きその半生と思索の日々、後世の研究をひもとき、従来の「もののあはれ」論を一新する渾身の論考。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
107
私は、常々、荻生徂徠に比べて本居宣長が矮小化されている気がしてならない。正岡子規/和辻哲郎/丸山眞男各氏からの評価も著しく低い。そんな中で上梓された先崎先生の本居宣長論。宣長の原点に古今和歌集があること、和歌と統治を巡る賀茂真淵と宣長の微妙な解釈の違い、折口信夫の源氏論との共通性など、新たな気づきが得られた。著者は、もののあはれ論とは「肯定と共感の倫理学」と言う。小林秀雄氏の「本居宣長」を初めて読んだ時「本居宣長の本質は直観と想像力。美質は明るさと単純さ」との断定に戸惑ったものだが、やはりそうなのか…。2024/07/15
Ohe Hiroyuki
4
本居宣長の前半生を通して、現代にいたるまでわが国が常に「西側」の価値観と戦ってきたのではないかとの着眼点から述べられた一冊である▼本書の特徴は、本居宣長の生き様にフォーカスを当てていることにある。日記や手紙を通して本居宣長の息遣いを感じることがえできる▼著作そのものへの切り込みは必要最小限にとどめられており、それゆえ著作の全体像は著作を読まないとわからない。しかし、生き様が見えてきただけに、何だか本居宣長に親しみを感じることのできる一冊である。2024/07/07
ミニすけ
2
現在の日本の社会、経済が「もののあわれ」で動いたなら、ものすごく困ると思う。情緒で政治が左右されることはあってはならないだろう。しかし、かつては中国の思想、近代からは西洋のイデオロギーに価値基準を合わせすぎているのかもしれない。宣長を通して紫式部の時代を見つめ、現代に本来の日本人の考え方を取り入れること。それによって奥行きのある豊かさを感じられるのではないか。そんな期待を感じた。賀茂真淵がゴリゴリの万葉推しでけっこうウケる。 2024/09/06
わからないな
0
メモ 我が国の本当の呼称は「大八洲(おおやしま)」である。 「山処(やまと)」2024/07/12