内容説明
人間とは、これほど救いがたいのか?奇妙な外国送金と香港の匿名口座――不正融資金はどこに消えた!?
本書に盛り込まれた感情のキーワードは「ひりひり」感ではないか。……金融のようなある意味、信用や裏切りが取引の要になっている世界では、ひりひりするような人間関係、状況ってたくさんあると思う。黒木さんの作品には、そんなわたしたちが知らないビジネスパーソンたちの感情が宿っている。……「経済」小説ではなく、経済「小説」と力説したい気持ちの由来、お分かりだろう。(松坂健 本書「解説」より)
【著者】
黒木亮
1957年、北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。都市銀行、証券会社、総合商社に23年あまり勤務し、国際協調融資をめぐる攻防を描いた『トップ・レフト』で作家デビュー。主な作品に『巨大投資銀行』『メイク・バンカブル!』『地球行商人』など。早稲田大学時代は箱根駅伝に2度出場し、『冬の喝采』で自身の競技生活を描いた。1988年から英国ロンドン在住。
目次
第7章 証人尋問、第8章 国会議員、第9章 外国送金伝票、第10章 爆弾炸裂、第11章 ジョーカー登場、第12章 パンドラの匣、第13章 判決、第14章 ポツダム宣言、第15章 プライベート・バンク、エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Koji Eguchi
18
一審の判決のひどさはどうよ。右近目線でのストーリーだとはいえ、こんな出鱈目な判決が下りるとは信じられない。一人の不利になるかもしれない証人の存在を伏せていたのがそれほど心証を悪くしたのか?銀行はこれだけ違法行為や嘘の証言を繰り返していたのに、裁判官はまともな理由も明かにせず、原告が敗訴するなんて。実際の裁判ではこのようなことはないと信じたい。しかし、裁判の進め方や陳述書の書き方など、真実味がありよくわかった。また、銀行業務では本当にいろいろ多くの書類があることはわかったが、難しすぎ(笑)2014/04/22
luther0801
5
元銀行員が書く銀行が題材の本。池井戸潤と違うのは、最後がハッピーエンドで終わらないとこかな。2014/02/01
Kobakampan
3
読んでるとすごくやるせなくなってくる。全てがそうだとは思えないけど、実際に裁判を行ってこんなにもいい加減だとすると自分の気持ちを持って行く場所がないと思う。現実は理不尽なことばかりでも、最後に正しい方が勝つ世界であってほしい。2015/09/28
sho
2
銀行も随分酷いことをしていたものだと思う。 裁判の様子がよく分かり、興味深い。 弁護士も酷いのがいるのだろう。淡々と話が進み面白かった。2020/07/06
shokenmori
2
面白くて一気に読了。2019/04/22