内容説明
弥生・古墳時代の鏡には、巫女の占い道具や神器といったイメージとは隔絶した、強烈な政治的性格があった。6000面をこえる出土資料をもとに、鏡背面の図像の意味、配布をつうじた有力者間関係、保有と副葬の意義などから、鏡をめぐる政治力学を平易に解説。鏡が国家形成にはたした決定的な役割に迫り、倭人にとって鏡とは何だったのかを解き明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mentyu
4
古墳時代研究で王道のテーマと言えば、墳丘の形を除けば、副葬品の研究ということになる。中でも鏡研究については、小林行雄の業績以来、日本考古学の思考方法さえも規定してしまった側面がある。鏡の配布が権力関係を反映したものと見なし、鏡の種類(国産か舶来か)・大きさ・デザインといった要素で細かく差異化が図られたという分析は、もっと後の歴史時代の考古資料解釈にまで強い影響を及ぼしている。本書は鏡の政治的メディアとしての側面を実証的かつ、理論的な分析も加えながら整理しており、鏡研究の精髄がうかがえる。2023/01/13
星乃
2
印象的だったのは、小型倭製鏡は祭祀に使用され、中国鏡や大型倭製鏡は首長の副葬に使われた点。中国鏡は諸氏族にとって同一性(アイデンティ?)のような存在なのだから、当然貴重なものであり、地域の秩序や統率力を示す。つまり、首長の葬式>祭祀という差があったということなのか?国の政策が問われるようになると、鏡の配布や古墳の築造は途絶えてしまう。政治、古墳、鏡は連動している。2024/11/06
ナオ
2
三角縁すべて舶載鏡。長期保有は地域集団主体。数量と面径による格付け。畿内国家と列島国家。などが論点か。2022/10/12
うしうし
2
とりあえず読了。精緻な理論に跡づけられた論旨で、再読必至である著作。鏡の種類とともに、鏡の大きさ・重さの属性を重視して、配布論・保有論から古墳時代像を再構築する。 ・「現代日本人が古来の鏡祭祀として思いえがくイメージは、中世神道の宗教的・政治的運動の中で醸成された、歴史的深度の比較的あさいもの」(p271)2022/10/04
tnk
1
古墳のあり方に政治的秩序が反映されているのではなく、古墳の築造作業や規格統制こそが政治秩序を強化しているという逆転の発想。2022/06/07
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