内容説明
満開の桜も素晴らしいけれど、散り際にも楽しみはある――。
『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』『伝言猫がカフェにいます』の
著者が贈る、かけがえのない人生の物語。
庭にヤマザクラの大きな古木がある〈キャフェ チェリー・ブラッサム〉。
祖母と母から受け継いできた洋館で、緋桜(ひお)は、
季節の和菓子と茶を提供している。
訪れるのは、犬を連れて散歩にくる老人、
長年連れ添う国際結婚の夫婦、
保育園からの帰り道に通りがかった親子、
自分が進むべき道に迷う少女……。
桜の木は、今日もゆったり、行きかう人々を眺めながら、
各々が抱える悩みや秘めた思いに耳を傾け、静かに寄り添う。
四季の移ろいと人々の交流を、優しくゆったりと描く再生の物語。
文庫書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
167
庭のヤマザクラが時には語り手となり、洋館のカフェと緋桜を見守る。何か事件が起きるわけでもなく、物語は日常的でタンタンと進むが、季節をしっかり感じて、緋桜と訪れる人達との交流がなんとも心地良い。時の流れがすごくゆったり流れるように感じる。花を愛でて、お茶と和菓子をしっかり味わえる心のゆとりが、今の自分に必要なのかもしれないと思った。いつまでもヤマザクラには三世代に受け継がれた洋館のカフェを見守ってほしい。そして、緋桜にはカフェをこの先も続けてほしい。読み終えて自分が再生されたような物語だった。2024/07/01
シナモン
117
満開のときにばかり目がいきがちだけど、咲き終わったあとも桜はまた巡ってくる次の春に向けて淡々と準備を始める。四季の移ろい、それぞれの季節の桜の木のつぶやきが趣き深い。こんな桜の木があるカフェでひとり静かに過ごしてみたいな😌大野八生さんの絵も優しくて癒やされる。 今までの標野凪さんの作品とはまたひと味違った感じで楽しめました🌸 2024/04/15
machi☺︎︎゛
106
祖母、母親と受け継がれてきたおしゃれな洋館でキャフェ チェリーブロッサムを営む緋桜。ここでは緋桜が厳選した季節の和菓子とお茶が提供される。よくあるカフェものなんだけどちょっと違うのは庭にある大きな桜の木目線がちょこちょこ挟まれる点。そのおかげで緋桜の事を俯瞰で見たりできるので良かった。特に大きな事件は起こらないけど季節ごとの様子やここを訪れる人の人間模様とか桜の木目線で楽しめた。2024/08/04
モルク
93
親子三代に渡る店に大きなヤマザクラの古木のある洋館。祖母は宿を、母はレストランを、そして娘は日本茶と和菓子を出す店「キャフェチェリーブロッサム」をヤマザクラの視点で描かれた作品。落ち着いた静かな時間をこの店で過ごす人々と花屋と鞄職人の母娘、和菓子店の母娘のストーリーをまじえながら静かに時は過ぎる。インパクトはあまりないがとても優しい作品。2024/12/25
Karl Heintz Schneider
44
キャフェ チェリー・ブラッサムは日本茶と和菓子を出す小さなお店。店主の緋桜(ひお)は30歳で祖母が営んでいた、この店を引き継いだ。この店を訪れるのは地元のなじみ客ばかり。国際結婚のご夫婦、母親と保育園児の男の子、中学生の女の子。彼らは静かにお茶を飲み和菓子に舌鼓を打つ。そして時々ひとりでふらっと来て緋桜に悩みを打ち明けたりもする。大きな事件は起こらず、淡々とした日常が描かれている。でもそれは退屈ではなく心地よい。静かな静かな時間が、本全体に流れている。休日の午後に日本茶と和菓子をお供に家で読みたい一冊だ。2024/06/14
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