内容説明
奇跡の海峡突破を成し遂げた男を
突き動かした「大義」とは──
列強のアジア進出で緊張高まる江戸後期に、
国内外を雄飛し続けた男の生涯!
江戸後期の探検家、間宮林蔵。
名前は有名だが、間宮海峡発見の実際や、蝦夷地での測量、
アイヌの妻の存在など、知られざる点も多い。
また、蝦夷地から帰還後の後半生は、
シーボルト事件の密告者と噂されたり、
幕府隠密として活動するなど、暗い影が。
著者は、林蔵の足跡を求めて、サハリンの間宮海峡から
アムール川流域、日本国内の林蔵ゆかりの地までを徹底踏査。
林蔵が残した大いなる遺産を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
126
間宮林蔵については吉村昭の歴史小説などがあるが、信じられない大冒険をフィクションとして描くためか隔靴掻痒が拭えなかった。本書は実際に林蔵が踏破した樺太や沿海州に足を運び、現代人ですら困難な探検を成し遂げた男の姿を写真とリポートで実感させる。今風に言えば優秀な公安刑事であり、潜入スパイであり、好奇心旺盛で逞しい心身の持ち主だからこそやれたのだ。林蔵が汚れ仕事をしていたと主張する向きもあるが、百姓の小倅が幕府直臣に取り立てられた実力は評価すべきだろう。国家の安全保障は無数の林蔵によって支えられているのだから。2024/05/13
まーくん
81
前半の探検、つまり北蝦夷(サハリン島)探査、海峡の発見、アムール河遡行・清朝の満洲仮府デレンでの朝貢貿易見聞、アイヌ・ウイルタ・ニブウなどの北方民族との交流については16年前の2008年刊の中公新書ラクレ版『間宮林蔵・探検家一代』と内容は重なる。大幅に加筆修正しているらしいが、1808年~09年の林蔵の二回のサハリン探検と著者の2006年のアムール河取材旅行についてと、材料が同じなのでどうしても新鮮味が減じる。但し、新たにテレビ番組での2014年のオフロード車でのサハリン縦断紀行が追加になっている。⇒2025/10/18
藤井宏
11
外国船が日本近海に頻繁に現れるようになった江戸末期。北方の守りを固めるため、樺太の探検調査を命じられた林蔵(途中まで伊能忠敬と勘違い)。彼は粗末な衣服、鮭皮の粗末な小舟で、極寒のサハリンを調査し、サハリンと大陸の間に海峡があることを確認、アムール川を遡り、中国清の官吏がいる交易所を訪問した。まさに探検。そして彼は農民出身であった。とてもおもしろくて一気読みでした。林蔵の出身地の茨城県にちなんだ本として登録。2024/06/01
takao
1
ふむ2024/08/05




