自由論

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自由論

  • ISBN:9784822248574

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内容説明

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日経BPクラシックス 第10弾
「すべてのことが官僚機構で行われている国では、官僚が内心反対していることは何もできない。このような国の政治制度は、経験と
実務能力をもつ国民をすべて規律ある組織に集めて、それ以外の国民を支配することを目的としている。」

この文章は、日本の官僚批判派、あるいは改革派官僚が書いたものではない。150年前に出版されたミル『自由論』の一節だ。
驚くほど、いまの社会の真実を突いている。官僚制の本質は、どの時代、どの社会でも変わらないということだろう。

ミルは19世紀のイギリスを代表する哲学者。父ジェームズ・ミルは著名な哲学者であり、息子に英才教育を施した。そのあたりは息子の『ミル自伝』に詳しい。
本書は、他者に危害を与えない限り、国家は個人に干渉すべきではないという「危害原則」を明らかにしたことで知られる。
リバタリアン(古典的自由主義者)の聖典ともいえるイギリス経験論の金字塔。

言論の自由、思想の自由がなぜ大切なのかを、民主主義のエッセンスをまるでビジネス書のように面白く説いている。たとえば、こうだ。
「ひとつの社会に変わった言動がどれほど多いのかは一般に、その社会に才能や知的な活力、道徳的な勇気がどれほどあるのかに比例する」

目次

第1章 はじめに
第2章 思想と言論の自由
第3章 幸福の要素としての個性
第4章 個人に対する社会の権威の限界
第5章 原則の適用

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えちぜんや よーた

67
読めるところだけでも拾い読みしてたら、書いているの「現代の常識」みたいなことばっかりじゃないですか!(少なくとも建前上は)そうそう、この文章を書いているうちに思い出しましたたけど、このジョン・スチュアート・ミルの「自由論」って、高校日本史の重要暗記事項じゃなかったですか?明治初期の自由民権運動のところで、知識人の間で回し読みされたというのを、授業で聞いたような気がする。「板垣死すとも、自由は死せず」の、アレかなぁ~?2013/06/10

zirou1984

25
約150年前に執筆されたにも関わらず今も説得力を失わない、自由に関する最重要古典。国家権力が個人の行動に干渉するのは個人の行動が他者に危害を加える場合にのみ正当化される「他者危害の原則」を明確にしているのだが、何よりミルの想定する個人のあり方が素晴らしい。曰く、人間の知性というのは反論を聞いて自らの誤りを正すことによってもたらされるものであり、そうした反論は個性や多様性、少数派の意見というものを尊重しなければ決して生み出されないと言う。人は誰でも間違える、だからこそそれを克服するために自由は必要なのだ。2013/04/12

テツ

3
ミルの『自由論』明治時代の自由民権運動にも大きな影響を与えた一冊。150年前の書物に記された、現代では当たり前の「他者危害の原則」を生み出したことは素晴らしい。自由について考えること、自由の捉え方って時代が移り変わってもあまり変わることはないんだろうな多分。高校の世界史で触れるせいか何となくつまらない印象があるけれど通して読むと面白い。官僚機構や地方行政についても記されているのでそちらを学ぶ方も是非。2013/09/11

CCC

2
対立意見を封殺するべからず。大筋は真っ当に聞こえるが、それは同時代でもそうだったのだろうか。現代日本では国としてはそれなりに守れているようにも思えるけれど、個人や組織単位で見れば不十分という印象。2015/04/22

はすはす

2
現代では当たり前となっている「他者危害の原則」を説いた古典的名著。大衆社会における「多数派の専制」についての記述は現代にもそのまま当てはまり、150年も前に書かれたものとはとても思えない。また、現代の法律、特に思想・良心の自由や表現の自由、違法性の本質などを論ずる上でも参考になる点は多いだろう。もっとも、古典であるが故に、書かれた当時の時代背景に気をつけながら読む必要はある。西洋の古典の中では比較的読みやすい部類に入るだろうか。現代の大衆民主主義に疑問をもつ人には一読の価値があるだろう。2013/02/28

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