内容説明
第9回京都本大賞受賞作! 美咲・32歳。和範との婚約を機に京都へ。和範との関係性にも違和感を覚え始めたが、あるきっかけで、かつて熱中した、ものづくりに再び挑戦することに──。人生の岐路に立つ美咲の運命が変わり始める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
312
少し興ざめなほどトントン拍子だし、美咲をよく見せるためだけに和範が異常者じみてくるのはちょっと如何なものかと思わないでもない。この手の作品、婚約者から違う男に乗り換える展開が非常に多くて辟易とする。主人公に免罪符を与える的な安直で、読んでる人もそんなに都合よく雰囲気に流されないと思うのだが…。と、酷評っぽいことを書いてみたけれど、実は結構楽しめた。やはり自分はもの作りへの憧憬が強いのだなと再認識。もう少し品質を突き詰めていく場面描写があれば、なおよかったけれども、このくらいの読み口が一般的にはよいのか。2024/06/05
タックン
101
(リラの花咲くけものみち)がよかったので、他の作品を読みたいと思って。 京都の御曹司と婚約し、東京の仕事を辞めて京都に移り住んだ美咲。でも京都という街と文化とか因習の洗礼を浴び彼ともうまくいかなくなって時間を持て余ししてしまう。 そんな中、時間つぶしで作ったTシャツを10年ぶりに会った大学の同級生のところに持っていったことから運命が変わって。半ばお仕事小説だけど読みやすくて一気読み。彼との破断やTシャツのブランド化は紆余曲折あったけど最後はハッピーエンドかな?同級生との恋の行方が気になる。2024/08/15
piro
39
婚約を機に生まれ育った東京を離れ、京都に移り住んだ十川美咲が、様々な困難を経ながら夢を実現するお話。「夢を掴み取った」と言うよりも、大きな奔流に流されて、運良く夢に流れ着いた印象ですが、それも美咲の実直さや誠意が引き寄せたものなのでしょう。美咲の行動にもどかしさを感じながらも、汚れていない美しい心の輝きも確かに感じました。京都の伏魔殿的な難しさ、アパレル業界の厳しさの片鱗を感じられた所も興味深かった。京都の旧家と言うのはこんな感じなのかなぁ。佳太がどこまでも優しいのが嬉しい。2024/05/12
よっち
33
婚約直後に彼の父の急死に直面し、彼の実家・京都に移住して早々に京都人達からの洗礼を浴び、婚約者との関係性にも違和感を覚えだす美咲。そんな彼女がTシャツ作りにのめり込んでいく物語。まだ二人の関係も確立しない中で見知らぬ土地への移住、周囲のフォローもない孤独感はなかなかしんどい状況。作中で語られる京都の今も興味深かったですが、そこから受け身だった彼女が新しい縁を得て、自分らしさを思い出してゆく山あり谷ありの激動の展開で、それでも大切なものを見失わなかったからこそ切り開くことができた結末はなかなか良かったです。2024/04/05
いっちゃん
19
単行本の時に読んで、うーん…と思った作品。これが私には藤岡さん初読書だったから、期待しないで読んだ次の金の角がびっくりするくらい面白くて、オレンジ、リラと読みました。これは文庫なので解説がついていて、この作品のモデルになった女性が書いています。私自身京都に住んで4年が経ち、いろいろ様子がわかってきたので以前とは違う気持ちで読める場所がありました。2024/07/03




