ちくま学芸文庫<br> 新版 プラトン 理想国の現在

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ちくま学芸文庫
新版 プラトン 理想国の現在

  • 著者名:納富信留【著者】
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 筑摩書房(2024/04発売)
  • 盛夏を彩る!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~7/28)
  • ポイント 390pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480512048

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内容説明

「理想」という語は、明治の時代、プラトンの「イデア」の訳語として造られ、定着した。そしてプラトンの最高傑作『ポリテイア』(『国家』)が『理想国』の標題で出版され、近代国家建設をめざす多くの日本人の希望の拠りどころとなる。だが、新たな理想社会を創らんとするその熱情は、やがて全体主義に利用される運命を辿った――。かくも激しく人々の魂を突き動かしたプラトンの理想主義哲学とは、果たしていかなるものか。『ポリテイア』の核心を読み解くことで、哲学という営みが切りひらく最良の地平を描き出す。初学者への案内として「プラトン『ポリテイア』を読むために」を付した決定版。

目次

序 「理想」を追う哲学──あるいは、現代のドン・キホーテ/第I部 現在の鏡としての『ポリテイア』/第一章 『ポリテイア』の正義論/一 プラトン正義論の特異性/二 現代正義論の限界/三 人間本性(フュシス)への問い/第二章 理想国論批判の再考/一 ポパーによる問題提起/二 受容史からの考察/三 理想国論の位置づけ/第三章 「哲人王ホメイニー」/第II部 『ポリテイア』を読んだ日本の過去/第四章 新しい日本語のプラトン/一 大西祝の挑戦/二 プラトンの翻訳登場/三 哲学的対話の文体を求めて/第五章 明治から大正へのプラトン/一 近代日本の問題としての『ポリテイア』/二 明治期の導入/三 戦前の翻訳/四 大正期の一般的関心/第六章 戦前から戦後へのプラトン/一 『ポリテイア』の「政治化」/二 戦後の関心/第七章 「理想国」への挑戦と挫折/一 「理想」という哲学用語/二 ユートピア思想のなかで/三 近代日本の「理想」/四 宗教の理念、良心の根源/第III部 私たちが語る未来の「ポリテイア」/第八章 「ポリテイア」とは何か?/一 著作標題再考/二 「ポリテイア」の意味/三 「内なるポリテイア」/四 魂とポリスの類比/第九章 「天上に掲げられたポリス」/一 伝統的位置づけの問題性/二 問題テクストの検討/第十章 「理想」を書く/読むこと/一 「理想」という哲学概念/二 ユートピアの想像力と笑い/三 理想を書く言葉/付録 プラトン『ポリテイア』を読むために/あとがき/新版あとがき/初出ノート/註/参考文献/解説 いまだ到来しない世界へ(熊野純彦)/人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

青柳

7
プラトン研究者の納富先生によるプラトンの「国家(ポリテイア)」解説本です。欧州ではプラトンの哲人王思想が第二次世界大戦期のファシズムに繋がったとして、様々な議論を呼ぶことになりましたが、一方の日本では戦後アカデミーが政治と距離を置くためにプラトンを非政治的に扱ってきました。しかし、プラトンの「国家」の受容史を明治から遡って再検討すると、そこには訳語の問題や当時のマルキスト、国家主義者らへの影響が見て取れ、その視点を踏まえつつ現代日本で「国家」をどう読み解くかという本でした。非常にお勧めです。2024/05/13

みのくま

5
「国家」と邦訳される「ポリテイア」は超訳といってもよいようだ。本書は日本における「ポリテイア」及びプラトン受容の歴史を辿っており興味深い。まずプラトン対話篇を訳すにあたり新しい日本語の創造が必要であった。明治初期の文語体ではプラトンの対話は表現できないのだ。そして戦前は英訳の重訳として「理想国」という邦訳がつけられた。同時に「理想」という単語も生み出された。他方プラトンは近代世界で全体主義や社会主義の起源として解釈されたが、戦後日本では非政治的な哲学書として脱臭されて受容された事で見落してしまった事が多い2024/03/07

Fumoh

1
いい本だと思いました。現在の「正しさ」の混乱を見事に指摘している。われわれがアメリカ流の資本主義に疑問を抱くようになったのは、リーマンショック、そして東日本大震災による原発事故からだった。突如、信じていた思想に裏切られるとき、われわれはどうそれを作り直せばよいのか、今一度プラトンの『国家(ポリテイア)』に立ち返ってみよう、と著者はいいます。プラトンの『国家』は今までさまざまな政治思想の根本とされてきました。社会主義であったり、軍国主義であったり、独裁政治であったり、民主主義であったり……。2023/12/27

horada

0
*****2024/05/10

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