内容説明
東播磨の大名、別所家の本城である三木城。当主の長治は織田信長に反旗を翻すも、織田勢を率いる羽柴秀吉に攻められ、村人を巻き込んだ過酷な籠城戦が始まる。飢えに苦しむ領民は、究極の選択へと追い込まれ……。米十俵のために握った薙刀で、家族を守るため、戦う覚悟を決める娘。「死に損ない」と罵られ、次こそ死のうと敵を斬り続ける武士。「女らしさ」の呪縛に悩みながら、女武者組の先頭に立って陣頭指揮を執る別所家の妻。華々しい合戦絵巻の裏側に存在した、名もなき人びとのひたむきな生の物語。
目次
第一章 加代の戦場
第二章 亡者の生還
第三章 愚者たちの戦
第四章 長治の悔恨
第五章 罪の在処は
第六章 餓鬼と修羅
第七章 深淵の彼方に
第八章 命、散りゆけど
終章 光射す丘
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さこちゃん
11
三木城の歴史は知っていたのに、なぜこの本を手にとったのかと、あまりの悲惨さに後悔しながら読んだ。しかし現実はこれ以上だったはずで、400年以上たったこの世界で起きていることも同じ。偏った思想の人が権力を待てば、苦しむのはいつも市民。またそんな弱者を顧みない人が権力を待てる社会の仕組みになっている。人類は学ばない。2024/03/26
かずぺん
6
苦しく悲しい行き場のない怒りが飛び交う時代である。現代社会は平和で豊かである。しかし心の豊かさや奥深さはどうなんでしょう。2024/05/24
イケメンつんちゃ
4
七人 七人 七人揃えば 怖くはないさ 僕らは仲間さ兄弟さ 句読点使ってません 膝小僧はぞっとしない いゃーあおもしろかった 二回目の読書 前回は単行本 今回は文庫本 戦国時代のシェークスピア劇場 神の国根性論・精神論 兵糧攻めだったり 佐川君からの手紙だったり イヤミスの今昔物語 またまた誹謗中傷が発覚 歴史・時代小説はおもしろいんだけど なぁぜなぁぜ? 人気がなさすぎる気が 年寄りは言うことを聞かない 草刈りを 中京記念2024/07/30
fukufuku
4
三木城の兵糧攻めを三木城側から描く小説。読む前に少し怯む。案の定、ずっと負け続け討って出れば逃げ帰り、守りは破られ、中盤以降は飢餓に苦しめ続ける物語だった。が、そんな中で、女性たちが強かった。吉親の室で女たちを集めて戦闘集団を組織した波、その一員の加代、しのびのゆき、加代の友人たち等など…。加代の人物造形は現代ナイズされているかなぁとも思うが、当時もこういう強い子がいてもいいと思う。2024/05/04
あきのぶ
2
秀吉の戦はスカッと勝つのが少ないように思う。藤吉郎時代の、墨俣城とかは好きなんだがなぁ2024/04/09