内容説明
伊吹の最愛の双子の姉・朱里は20歳の誕生日を迎えた日、なんの前触れもなく自殺した。朱里の遺品の中から大衆演劇「鉢木座」の半券が見つかり、それが死ぬ前の最後の足取りであることを知った伊吹は、少しでも真相に迫るべく一座の公演に行った。公演後、座長に詰め寄る伊吹の姿を見た若座長の慈丹は、その容姿を見初め、入団を強く進めた。伊吹は何か手がかりが掴めるのではないかと入団を決意し、以降、訓練と舞台に追われる。そんなある日、ひょんなことから両親と鉢木座との繋がりが露見。それは鉢木座の過去に秘められた禁断の事実だった……。血脈に刻まれた因縁、人間の最果てと再生を描いた問題作。
目次
序章
第一章 開幕
第二章 お花
第三章 鶏
第四章 誕生日
第五章 和香
第六章 傷
第七章 庚申丸
終章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マキ
7
今回も圧倒的な熱量で、一日で読んでしまった。何がこんなに惹きつけるのだろう。小説全体から溢れ出る透明な世界観もすきなんだけど、苦しみも憎しみも喜びも、すべての感情が純真。救われないと思っていた闇の中に見える、一筋の光。それもまた絵画のように見えて美しい。2025/08/10
サボリーマン
5
『紅蓮の雪』読みました。 鉢木慈丹、若いのに立派な人間。惚れます。 ストーリー展開としてはよかった。会社休憩中も読んでたほど👍 #遠田潤子 #紅蓮の雪 #女形 #大衆演劇2025/01/07
bela
4
最愛の双子の姉の自死に悩む青年の愛憎劇、大衆演劇を背景とした遠田潤子ワールド全開のサスペンスでもある。姉の自死と彼等の出生の真相に辿り着くラスト、血の穢れと因果に抗って生きていっても良いのか葛藤する青年の辛さに感情移入し過ぎて辛くなったが、若座長の言葉に涙。大衆演劇、旅役者の裏側を知ることが出来る作品で今すぐ大衆演劇が観たくなる。若座長や青年の女形の怖いくらいに美しく妖艶な姿を見てみたい。2024/03/28
しゅうほう
3
この人の小説は言葉選び、言葉運びが大好きです。/双子の姉が自らの命を絶ち、残された弟が姉の死の理由を知ろうとして大衆演劇の世界に。。。/自身を汚れた存在と思う双子。親に忌み嫌われる、その理由はいかに。まぁ、展開としては先が読めてしまうよねぇ。でもミステリーと違って、結末に驚くというのではなく、ストーリーテリングを楽しんだ一冊でした。2024/05/28
JUN
3
過去は受け入れられないまま。 それでも自分を見て歩いていく。2024/03/13