内容説明
わずか29歳で夭逝した新美南吉は、美智子上皇后の胸に刻まれた「でんでんむしのかなしみ」や「手袋を買いに」など、多くの心優しい童話と詩を残した。不遇な幼年時代だったが18歳で「ごんぎつね」を発表。その後結核に苦しみながらも、創作の情熱は最期まで衰えなかった。生きることの淋しさを抱えつつ、それでも歩もうとする勇気を、繊細な感性で描いた傑作童話11編と数編の詩を収録した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴンゾウ@新潮部
69
古き良き日本の風景の中で移り行く時代への哀しみや寂しさが表現されている作品が多かった。しみじみと読みました。【新潮文庫の100冊 2026】2026/07/17
ぼっちゃん
55
新美南吉さんの作品は「ごんぎつね」「手袋を買いに」しか知らず、美津子さまの心に刻まれた「でんでんむしのかなしみ」というのがどのような作品か読んでみたく手に取った。「でんでんむしのかなしみ」はすべてひらがなの3ページの短い作品で、かなしみをこらえて生きて行こうとする物語だった。未読だった中で「おじいさんのランプ」「狐」が良かったです。2024/05/20
ジュン
52
新潮文庫の100冊 子供の頃から大好きな、手袋を買いにやごんぎつねは懐かしさがいっぱいで良かったのですが、最後の胡弓弾きやおじいさんのランプは初読みでしたが、現代でも色々思い当たる真理が書かれていて、凄いなと思いました。胡弓弾きの方は伝統芸能や古き良き習慣の消滅を、おじいさんのランプは商売人にとっては、とても大切な事を教えてくれます。新しい文明が押し寄せて来た時の心構えとか、自分の売ってる物がもはや時代遅れだと感じた時の引き際とか、参考になる事がたくさん。ちょっと悲しい作品が多い印象でした。2026/07/03
Shun
42
29歳という若さで亡くなった童話作家・新美南吉の童話と詩が収録された1冊。国語の教科書でおなじみの代表作「ごんぎつね」を読んだのは小学校以来となります。他の作品はほとんどが初めて読むものでしたが、「おじいさんのランプ」や「最後の胡弓弾き」といった作品に感じ入るものがありました。時代背景は明治維新がおこり文明開化の時勢、新しきものが古きものに取って代わられるその影で本当に大切なものが見えなくなってしまわないようにと、そんな願いを感じました。2024/05/13
新田新一
39
新美南吉の作品集。代表作のほかに詩も収録されているという特長があります。初めて読んだ「でんでんむしのかなしみ」が胸に染みました。子供でも分かるやさしい書き方で、人間が抱えている根源的な哀しみが表現されています。この哀しみは、どんなことをしても消えることはなくて、向き合って生きるしかないと思います。力強い最後の一行に勇気づけられました。詩も味わい深いものばかりで、特に亡き母のことを書いた「春風」は、読み終わると切ない思いがこみ上げてきました。2024/07/02




