内容説明
わずか29歳で夭逝した新美南吉は、美智子上皇后の胸に刻まれた「でんでんむしのかなしみ」や「手袋を買いに」など、多くの心優しい童話と詩を残した。不遇な幼年時代だったが18歳で「ごんぎつね」を発表。その後結核に苦しみながらも、創作の情熱は最期まで衰えなかった。生きることの淋しさを抱えつつ、それでも歩もうとする勇気を、繊細な感性で描いた傑作童話11編と数編の詩を収録した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
80
【2026-101】2026年新潮文庫の100冊。僅か29歳で夭折した童話作家、新美南吉の傑作選。表題作の「ごんぎつね」や「手袋を買いに」は子供の頃に読んだ記憶があるが、その他の作品はおそらく初めて。旧正月の風物詩として各家庭をまわる胡弓弾きを描いた「最後の胡弓弾き」が強く心に残った。時代は変わり、獅子舞などの伝統行事も今ではすっかり見かけなくなってしまいました。寂しくなりましたね。★★★+2026/07/25
ゴンゾウ@新潮部
77
古き良き日本の風景の中で移り行く時代への哀しみや寂しさが表現されている作品が多かった。しみじみと読みました。【新潮文庫の100冊 2026】2026/07/17
Major
63
新美は「人間が根源的に抱える孤独や疎外をいかに超え、他者や社会と新しく出会い直すか」という普遍的テーマを追った。『ごんぎつね』の絶望は、理解し合えない他者にそれでもなお慈しみを持つ文学への必然的な出発点だった。そのかなしみを受容した『でんでんむし…』を経て、魂の遍歴は『おじいさんの…』へ至る。巳之助が投げる3つの石は、古い殻に囚われた事の悔悟、過去との決別、かなしみに対する責任転嫁の克服を意味し、自身の生涯の克服と重なる。孫は尋ねる。「残りの四十七のランプはどうした?」大丈夫、今も私達の心に灯されている。2026/08/09
ぼっちゃん
56
新美南吉さんの作品は「ごんぎつね」「手袋を買いに」しか知らず、美津子さまの心に刻まれた「でんでんむしのかなしみ」というのがどのような作品か読んでみたく手に取った。「でんでんむしのかなしみ」はすべてひらがなの3ページの短い作品で、かなしみをこらえて生きて行こうとする物語だった。未読だった中で「おじいさんのランプ」「狐」が良かったです。2024/05/20
ジュン
54
新潮文庫の100冊 子供の頃から大好きな、手袋を買いにやごんぎつねは懐かしさがいっぱいで良かったのですが、最後の胡弓弾きやおじいさんのランプは初読みでしたが、現代でも色々思い当たる真理が書かれていて、凄いなと思いました。胡弓弾きの方は伝統芸能や古き良き習慣の消滅を、おじいさんのランプは商売人にとっては、とても大切な事を教えてくれます。新しい文明が押し寄せて来た時の心構えとか、自分の売ってる物がもはや時代遅れだと感じた時の引き際とか、参考になる事がたくさん。ちょっと悲しい作品が多い印象でした。2026/07/03
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