内容説明
父利家、兄利長の後を継ぎ、前田家3代当主となった利常。彼はいかにして「加賀百万石」と謳われた加賀藩の基礎を揺るぎないものとしたのか。戦国末期からの本願寺門徒や真宗寺院への対応、徳川将軍家との関係などに注目しつつ、最晩年に断行した藩政改革「改作法」に至る政治過程を解明。かつての「一揆の国」の近世化を達成した生涯と業績を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
12
加賀藩2代藩主・前田利常の農政に着目した一冊。利常が晩年に行った「改作法」に注目し、農民からの収奪ではなく、農業助成や救済策も盛り込んだインセンティブ型政策への転換を評価する。それは農政を重視した家光政権の意向もあるが、何より「一揆の国」である北陸を治める大大名として、現実的な対応を取ったが故とする。鼻毛を伸ばしたり、陰嚢を晒したりとユーモラスな逸話が多い人物だが、統治者としては飴と鞭を使い分ける冷徹な面が見え隠れする。のちの「仁政」を心掛けた名君たちとは違う、近世初期のリアリストの姿が印象的である。2021/11/10
Emkay
7
利家、利長に次ぐ加賀前田藩3代目・利常の打った政策を中心に、利家入国前の加賀一向一揆の時代から家光の時代に至るまで、300年近くの安定の礎となった経緯を詳述。多くの血を流した一向一揆の凄惨な平定の様子と、その後の経済システムを構築したことは確かにダイナミック。しかし、最も印象に残ったのは、利常の正妻が徳川秀忠の娘であり、利常の嫡子・光高の正妻が家光の養女だったという徳川一門化していたこと。長い江戸期に幕府から言いがかりをつけられて国替やお家取り潰しに遭わなかったのは、多分に運もあったのだろう。2024/04/09
アメヲトコ
5
21年10月刊。前田利家の四男として生まれ、兄利長の跡を継いで加賀藩主となった前田利常の評伝。「改作法」を始めとする初期の藩政改革を、真宗教団の動きとリンクさせて解くという視点が新鮮でした。2022/04/04
wuhujiang
3
表題に前田利常の名があるが、他の人物評伝とは少し趣がことなる。利常の一生を追いつつも、主要なテーマは前田領の一向宗がどのように近世に溶け込んでいったか、また利常晩年の農政改革である改作法に目をむけたものである。広大な領地をもちながら幕末まで存続した加賀藩の礎を築いた人なので、当然優秀な人物とおもっていた。しかし、本書を読むと優秀でも「明君」とは異なり、飴と鞭でも少量の飴で多く鞭をうつような、利に目ざとい政治をした人物と感じた。2021/10/16
Go Extreme
1
一揆の国の藩政改革:一揆の国から大名領国へ 藩公儀の立上げ: 将軍の聟、藩主となる 隠居利長と藩公儀の継承 家中統合と藩政確立: 利常親政始まる 家中統合と知行制改革 一揆の国での国づくり: 分裂する本願寺と広がる寺檀関係 伝統寺社再興と寺請寺檀制の導入 利常の隠居と四代光高の治績: 将軍家との蜜月と隠居 辣腕の隠居と光高の治績 改作法の断行: 「御開作」仰せ付け 「百姓成り立ち」と勤勉の要求 改作法のもたらしたもの) 一揆の国の近世化: 現実直視・合理制市hン 一揆の国の勤勉理論 隠れた名君2024/09/11
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