岩波現代文庫<br> 日本軍の治安戦 - 日中戦争の実相

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岩波現代文庫
日本軍の治安戦 - 日中戦争の実相

  • 著者名:笠原十九司
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 岩波書店(2024/03発売)
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  • ISBN:9784006004712

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内容説明

治安戦とは,占領地,植民地の統治の安定を確保するための戦略,作戦,戦闘,施策の総称である.日本軍が行った治安戦(三光作戦)の過程を丹念に辿り,加害の論理と被害の記憶から実相を浮彫にする.解説=齋藤一晴.

目次

プロローグ 山西省の治安戦における宮柊二と田村泰次郎
歌集『山西省』に歌われた治安戦
田村泰次郎「裸女のいる隊列」に描かれた治安戦
治安戦と三光作戦
第一章 日中戦争のなかの治安戦
1 日中戦争の開始
中国における二つの戦場と治安戦
盧溝橋事件
治安維持工作の始まり
2 一九三八年の作戦と戦闘
長期総力戦へ
華北の占領地統治
特務機関の宣撫工作
3 一九三九年の作戦と戦闘
泥沼の戦争へ
天皇制集団無責任体制
重慶爆撃
汪精衛政権樹立工作
海軍の海南島占領
南寧占領と北部仏印進駐の強行
関東軍の暴走によるノモンハン事件
4 華北における治安工作の開始
日支新関係調整方針
「治安粛正」の目的
第二章 華北の治安工作と「第二の満州国化」
1 北支那方面軍の治安粛正計画
長期化する戦争
治安工作の思想と目的
2 北支那方面軍の軍政実施
抗日意識の高まり
新民会と宣撫班の統合
3 華北の「第二の満州国化」
華北経済の収奪的支配
県城と農村の支配
プロパガンダ工作
「第二の満州国化」構想と興亜院
4 華北における治安戦の開始
治安戦の開始
治安戦初期の状況
第三章 百団大戦と治安戦の本格化
1 一九四〇年の作戦と戦闘
ドイツ軍の攻勢に幻惑された日本
南進へ
2 百団大戦の衝撃
八路軍の攻勢
甚大な被害
3 なぜ百団大戦が発動されたか
華北における抗日根拠地の成立と拡大
八路軍総司令朱徳の報告
百団大戦を発動させた内外情勢
4 報復としての治安戦の本格化
報復作戦決行
抗日民衆対象の三光作戦
第四章 アジア・太平洋戦争と治安戦の強化
1 一九四一年の作戦と戦闘
国策の奔放からアジア・太平洋戦争突入へ
「関特演」=対ソ戦発動準備
強硬派による対米開戦決定
2 華北の総兵站基地化
アジア・太平洋戦争開戦
経済収奪のための治安戦
汪精衛政権の対米英参戦
3 汪精衛政権下の清郷工作
新四軍の勢力拡大
清郷工作
4 海南島における海軍の治安戦
軍事拠点としての海南島
抗日根拠地の形成
5 本土防衛のための中国戦場
逆転する戦争遂行の目的
膨大な犠牲を強いた大陸打通作戦
第五章 治安戦の諸相――加害者の論理と被害者の記憶
1 華北における治安戦の全体像
北支那方面軍の作戦
引用する基本史料
2 掃蕩作戦と「収買作戦」――山西省
山西省における掃蕩作戦
「罪悪事実」の手段と総数
被害民衆の記憶
3 無住地帯(無人区)と経済封鎖――河北省
治安戦遂行者の証言と回想
虐殺事件の記憶と記録
無人区と集団部落
4 細菌戦――山東省
魯西作戦(一九四三年秋)におけるコレラ菌作戦
記憶されなかった被害者の悲劇
5 三光作戦の被害概数
戦後補償要求裁判
被害総数
エピローグ 対日協力者=漢奸たちの運命はどうなったか
対日協力者たちの戦後
日中戦争の実相へ

あとがき
岩波現代文庫版あとがき
解 説……………齋藤一晴
巻末史料(表/地図)
用語リスト

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たつみ

2
本論からは外れるけど、731部隊が細菌戦で日本軍自身に被害を与えたり、細菌戦実施地帯に敢えて防疫訓練の名目で日本軍兵士を送り込んで被害を出したりしていて、731部隊自身が防疫面で日本軍のために全く役に立ってなかったこともわかった。この伝統が現在も脈々と活き続けているなら、コロナ対策が今こうなっている理由もよくわかる2024/01/31

Go Extreme

1
日中戦争のなかの治安戦: 日中戦争の開始 盧溝橋事件 治安維持工作 1938年長期総力戦へ 1939年天皇制集団無責任体制 華北における治安工作の開始 華北の治安工作と「第二の満州国化」: 北支那方面軍・治安粛正計画・軍政実施 百団大戦と治安戦の本格化: 1940年日本南進へ 百団大戦の衝撃 報復としての治安戦本格化 アジア・太平洋戦争と治安戦強化: 1941年強硬派・対米開戦決定 華北の総兵站基地化 本土防衛のための中国戦場 治安戦の諸相―加害者の論理と被害者の記憶 対日協力者=漢奸たちの運命2024/02/22

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