内容説明
日本の確率論研究の基礎を築き,かつ多くの俊秀を育て,ガウス賞第1回受賞のほか数々の栄誉に輝いた伊藤清.本書は氏の唯一のエッセイ集.数学者になるまでの生い立ち,伊藤公式で名高い「確率解析」誕生の秘話,さらには「忘れられない言葉」「想い出」など,数学に携わる人々への深い思いが綴られる.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
目次
I 忘れられない言葉
忘れられない言葉
数学の研究を始めた頃
直観と論理のバランス
II 数学の二つの柱
科学と数学
数学の二つの柱
かわった学生
色即是空、空即是色
III 数学の楽しみ
数学者と物理
オイラーの応用数学
数学の楽しみ
数学の科学的側面と芸術的側面
IV 確率論とは何だろうか
確率論の歴史
組合せ確率論から測度論的確率論へ
コルモゴロフの数学観と業績
V 確率論と歩いた六十年
確率論と歩いた六十年
確率解析の研究を振り返って
VI 思い出
秋月先生の思い出
近藤鉦太郎先生と数学
十時君の思い出
河田敬義君の思い出
初出一覧
あとがきにかえて
略年譜
〈付録〉確率微分方程式 生い立ちと展開
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たか
5
数式もちょっとだけ出てきますが基本的にエッセイ、自叙伝だから数学苦手でも大丈夫です。2019/04/05
Masami.T.
3
誰かの何気ない言葉が忘れられない言葉になるということは、往々にしてあるものだ。確率論研究者・伊藤清の場合は、友人のお姉さんの言葉。彼女が哲学について語ったその言葉には、客観的な響きがあり、自然を記述する微分方程式こそ、あるいは次第に数学こそそうではないかと思うようになったという。この冒頭エッセイの他、コルモゴロフの数学観と業績、マッキーンとの共同研究(「あっという間の十年だった」)、故郷・三重県桑名の民謡や色々の思い出話などを収録している。2021/07/25
しろっこー
3
めちゃくちゃ読みやすい. 2018/11/13
Steppenwolf
2
G付録以外はエッセイ集であった。この中で数学セミナーに載っていた「かわった学生」だけは読んでいた。35年も前に読んだことであったがほぼ記憶していた。その他オイラー,コルモゴロフについて書かれた文をよんで更にこの人たちのことを知りたくなってしまった。同時に苦手意識を持っている確率についても勉強し直すかと思った。誤りを一点,付録14ページ,g=980dyneは伊藤先生のミスで正しくはg=980cm/s^2。2018/10/25
ゆうやけPC
1
数学者がどんな事を考えてるか少しだけ感じられた気がした2024/02/08