内容説明
航空機の座席の後ろのスペースは誰のもの? Kindleで購入した本は本当にあなたのものか? デジタル資産など所有の概念が拡大する今、モノを持つことの本質を問う。法学者コンビが所有を決める根拠を明かし、また所有をめぐる争いから生まれた新たなビジネスを解説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
R
46
人間が根元的に盛っている性質として「所有」があるというお話。子供が「僕の!」というのが、英語でも「Mine!」として存在しているというのが強く印象に残ったのだけども、自我とともに自分のものという概念が現れ、それが人間の心や行動を支配していくというのは面白かった。この行動理論をもとに、様々なことを設計していくと住みやすくなるといったことも書かれていて、行動経済学にも似た感じが楽しい。早い者勝ち、労力かけたもの勝ちといった通念が法律ではないが、なんとなくルールとして浸透している不思議が面白かった。2024/08/19
こばまり
37
身近な話題から入り、疑問や危機感を抱かせる構成がうまい。私はダウンロードしたデータよりも地下、天然資源、領土領海領空の所有権の方が気にもなるし腹も立つ。日本の事情に特化したこの手の充実著作をもっと読みたいと思うが当方の検索力の乏しさかあまり出会えない。2024/11/15
くさてる
26
座席のリクライニングをどこまで倒せるかは所有の問題、ホームランボールは最初に掴んだ人のものか、最後に獲った人のものか、ミッキーマウスの著作権は?様々な切り口で「所有」とはなにかを考察した一冊。具体的なエピソードが多くて面白いのだけど、考えれば考えるほど「所有」って難しいね……という思いにもなりました。この本はあくまで欧米的な解釈による「所有」についてなので、日本人的感覚だとまた違った切り口もありそう。最近のAI絵の問題もここに関係するのだろうな。面白かったです。2024/05/21
月をみるもの
15
法律も経済も「所有」という概念なしでは成り立たない。そして「自由」という概念も「所有」と切り離すことはできない(自分が自由意志で取り扱いを決められるもの〜所有しているもの)。「なにもかも失って身ひとつ」とか「裸一貫」とか言うように、自分の身体こそが最後の自分の所有物(それを失ったらもうなにも残らない)と思うわけだが、本書第五章に挙げられている実例はそういった思い込みを完膚なきまでに打ち砕いてくれる。2024/09/26
turtle
8
所有権について様々なケースを取り上げて考察された実に興味深い本でした。座席のリクライニングはその乗客のリクライニングする権利、はたまた後ろの乗客の膝を守る権利が優先されるのか。そしてそれを曖昧にすることで利益を上げる航空会社の戦略とは? こうしてみると身の回りのあらゆることに所有権が関わり、争いの種になっている事実に深く考えされられます。2024/06/30
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