内容説明
著者クロエの親族だったコルマン三姉妹は、幼くしてナチの強制収容所で亡くなり、その人生の物語は空白のまま。クロエは生存者や資料をあたるうちに、彼女たちと実の姉妹だったかのような別の三姉妹の存在を知る。第2回「日本の学生が選ぶゴンクール賞」受賞作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
55
フランスの片田舎で仲良く育った2組のユダヤ人3姉妹。彼女たちはフランスからアウシュビッツへと移送されていった人々の波の中にいた。何度も何度も収容所を移動させられ、その度に、6人の少女たちは合流したり別れたりを繰り返した。作者は、2組のうち生き残れなかった3姉妹の姪に当たる。小さな伯母たちの名を探し、連れて行かれた場所を特定し、ほんのわずかでも「小さな伯母たち」の痕跡はないかとその場に足を運んだ。生き残った3姉妹の長女は、アウシュビッツを生き残った作家の文章を作者に読み聞かせた。⇒2024/05/22
pohcho
53
ナチス占領期に仏国内で起きたユダヤ人児童の検挙と収容所生活。コルマン家とカミンスキ家の三姉妹。検挙時に3歳から13歳だった六人の少女達は、それぞれの両親から引き離された後、ほとんど姉妹のように肩を寄せ合って暮らしていた。後に片方の姉妹のみ脱出に成功し、もう一方はアウシュビッツへ送られる。ほぼノンフィクションのような物語。感傷的であることを避けようとする文章のせいか、正直かなり読みづらかったけど、それでも幼い少女達のことを思うと胸がしめつけられる。日本の学生が選ぶゴンクール賞受賞作品。原語で読むってすごい。2024/06/02
つちのこ
44
ノンフィクション小説の体裁をとっているが、本書の出版後に、生き残ったカミンスキ姉妹たちから証言の真偽をめぐって怒りの声が上がったという作品。コルマン家の三姉妹はアウシュヴィッツで命を落とすが、カミンスキ姉妹は七回に及ぶ脱走を試みて成功している。コルマン姉妹の最期も含めて収容所内での生活や虐待については詳しく描かれてない。脱出の方法も同様で、読む側にとっては少し不完全燃焼だが、このあたりは想像を掻き立てるしかない。少ない証言を簡潔な文体で紡ぎ、リアルでないからこそ、重く感傷的ではない作品に仕上がったと思う。2024/07/01
ヘラジカ
39
文章は至って硬質。淡泊で感情が排されており、読者が何らかのシンパシーを抱くことをまるで想定していない感がある。そのために読んでいる間の疲労度はかなりのものだが、ノンフィクション小説として、それに対して安易な感想を言えるはずもない。ただ、「こんな現実があったのか」という言葉だけである。ポストメモリーという概念を初めて知った。アンヌ・ベレスト『ポストカード』、ナターシャ・ヴォーディン『彼女はマリウポリからやってきた』等と共に、個人の物語こそが歴史を風化させないために必要なのだと再確認させてくれる一作。2024/03/25
星落秋風五丈原
17
高校生が選ぶゴンクール賞とは日本の学生もレベル高いですね。2024/04/20
-
- 電子書籍
- まんだら屋の良太 愛蔵版 23 SMA…
-
- 電子書籍
- ドクターゼロス ~スポーツ外科医・野並…
-
- 電子書籍
- 嫌われ勇者に転生したので愛され勇者を目…
-
- 電子書籍
- 英文法を哲学する
-
- 電子書籍
- 東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケ…