内容説明
著者クロエの親族だったコルマン三姉妹は、幼くしてナチの強制収容所で亡くなり、その人生の物語は空白のまま。クロエは生存者や資料をあたるうちに、彼女たちと実の姉妹だったかのような別の三姉妹の存在を知る。第2回「日本の学生が選ぶゴンクール賞」受賞作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
36
文章は至って硬質。淡泊で感情が排されており、読者が何らかのシンパシーを抱くことをまるで想定していない感がある。そのために読んでいる間の疲労度はかなりのものだが、ノンフィクション小説として、それに対して安易な感想を言えるはずもない。ただ、「こんな現実があったのか」という言葉だけである。ポストメモリーという概念を初めて知った。アンヌ・ベレスト『ポストカード』、ナターシャ・ヴォーディン『彼女はマリウポリからやってきた』等と共に、個人の物語こそが歴史を風化させないために必要なのだと再確認させてくれる一作。2024/03/25
星落秋風五丈原
14
高校生が選ぶゴンクール賞とは日本の学生もレベル高いですね。2024/04/20
ひっさん
1
8月6日、8月9日。日本で起きた忘れられない、忘れてはいけない日があるように、様々な国でも、記憶すべき日がある。読みながら、あまりにも私の知識が欠けていて恥ずかしかった。知らないから分からないでなく、知らないからこそ知らなければならないと思う。世界中には私達の知らない物語がたくさんある。フィクションだけではなない。確かにそこには黄色い星の子ども達がいた。そしてそれを教えてくれるのは、歴史であり、残された“言葉”である。あとがきのポストメモリーについて、歴史認識の違いに興味をもった。2024/03/31