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内容説明
日本書史の碩学が、近年の新たな研究成果に基づき、日本の書がもつ多様性と深みを新視点から明らかにする。わが国の書の原点を稲荷山古墳鉄剣象嵌銘や聖徳太子「法華義疏」に見、近年中国で見つかった吉備真備の李訓墓誌銘などを例に挙げつつ、その発展史を辿る。さらに三筆・三跡と呼ばれる平安期の能書家、儒者、西行・寂厳から良寛に至る僧侶、頼山陽ら文人の書から、中国基軸の漢字文化史とも異なる、自由で伸びやかな日本独自の文字文化の歩みとしての書道史を描きなおす。
目次
まえがき/第一章 二つの古代鉄剣象嵌銘/1 稲荷山古墳出土大刀の銘文/2 船山古墳出土大刀銘の読み違い/3 雄略天皇の時代/4 銘文の文体/5 銘文の字体/第二章 聖徳太子『法華義疏』の書法/1 『法華義記』の書法/2 『法華義疏』の書法/3 高句麗僧恵慈/4 隋代の行狎書/5 『法華義疏』と『法華義記』/6 聖徳太子撰書とすることの否定要因/第三章 吉備真備の書法/1 遣唐使の派遣/2 唐との外交/3 隋唐書法の展開/4 井真成墓誌銘/5 阿倍仲麻呂と吉備真備/6 真備書李訓墓誌銘/7 「楽毅論」「雑集」の書法と真備/第四章 仮名の創生と工夫/1 万葉仮名/2 「万葉仮名文書」と「仏足石歌碑」/3 仮名木簡の発見/第五章 三筆から三跡へ/1 良寛の仮名と「秋萩帖」/2 空海書法の真価/3 書の異端児・小野道風/4 三筆から三跡へ/第六章 西行の仮名と西行風仮名/1 仮名と王羲之書法/2 冷泉家系の仮名/3 西行の仮名/第七章 江戸の唐様と朝鮮書道/1 朝鮮通信使/2 儒者の活躍/3 朝鮮通信使の書/第八章 儒者の唐様と書僧の墨跡/1 唐様の牽引者・細井広沢/2 書僧寂厳/3 良寛の道家思考/4 頼山陽の翰墨放恣/あとがき/参考文献