内容説明
いまある世界の始まり
脱植民地化は、18世紀末のアメリカ独立革命とハイチ独立に始まり新世界を席捲した第一波から、20世紀末のソ連解体によって引き起こされた第四波にいたるまで、複数回にわたって起きてきた。本書は、第二次世界大戦後のアジア・アフリカ全域で生じた第三波を、こうした長期の歴史に位置づける。また、世界各地の事例を比較検討することで、脱植民地化という現象の特徴を浮き彫りにし、今日にも繋がるさまざまな暴力の源をグローバルな視点から問い直している。脱植民地化の概説書としての本書の最大の特徴は
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遊動する旧石器人
3
2023年10月10日発行。脱植民地化decolonizationは、考古学の分野でもトピックとして挙げられるワードであり、それが気になって手にした1冊。本書に依ると、脱植民地化は複数回生じており、現在もその過程の1つである。ただ、その過程を鑑みると、いずれにおいても帝国側の傲慢な態度が露骨に見える。結局、21世紀になってもなお脱植民化の過程内であることは、曲がりなりにも帝国が残存していることに帰する。従って、帝国・暴力・国民国家という概念-パラダイムが変換しない限り、次の時代の展望は拓けないだろう。2024/02/22
中桐 伴行
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また勉強会のために読んだ本。これはすごく勉強になった。教科書を読んでいるようで、情報量が多くて「ここがよかった」と絞り込めないが、植民地から独立というのがいかに難しいのかが分かったような気がする。どこかで読んだが、植民地という概念はその住民が民族主義的な考えを持つことによって「植民地化されている」ことを認識するそうだ。なるほど。民族主義的な考えがなければ、他国という考えも出てこないし、新しい支配者になったという考えに落ち着くだろう。(続)2024/11/27