ちくま新書<br> 日本の物流問題 ――流通の危機と進化を読みとく

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ちくま新書
日本の物流問題 ――流通の危機と進化を読みとく

  • 著者名:野口智雄【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2024/03発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076069

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内容説明

生産と消費の間にあって、企業努力と労働者の犠牲の上に成り立っていた「安くて早くて確実な、安心の物流」は終わりつつある。3K職種といわれる業界で始まった働き方改革「物流の2024年問題」は、低賃金を残業でまかなってきたドライバーや人手不足に悩む企業など流通業界ばかりか消費者にも衝撃をもたらした。しかしAIによる効率化、危険な作業やきつい重労働を軽減するロボット化なども飛躍的に進歩している。戦後の発展史からボトルネックの正体、そしてこれから起こるブレークスルーまで、物流の来し方行く末を見通す一冊。

目次

まえがき/序章 2024年問題とは何か──ドライバー不足と働き方改革/1 ことの発端──働き方改革関連法案 国が目指しているものと実態の乖離/問題の根源、物流企業の激増と荷主優位の時代/2 過酷なブラック環境 長時間労働、働きすぎの労働現場/エクストラ業務の荷役/時間厳守、遅延は許されない/長い荷待ち時間/ダンピング体質と低賃金/3 ECの急成長とトラック輸送 40年弱で10倍超/非効率な再配達/4 表面化している諸問題、今後の影響 逃避するドライバー、若者の減少/高齢化の進行/5 経営逼迫化する物流関連企業 ドライバー不足の悪化/求人難と減量経営/6 困惑する利用者 荷物の到着はどれくらい遅延するのか/運賃はどうなるのか/パワーシフトは起こるか/第一章 ロジスティクスの発展をたどる──産業と物流の相関史/1 高度経済成長とインフラ整備の時代──1950年代後半~60年代 ボトルネックとなっていた物流/物流システム化/倉庫から物流センターへ/2 安定成長と小口多頻度物流の時代──1970年代~80年代前半 ハードからソフトへ/革新的な「宅配便」の誕生/ジャストインタイム物流/3 グローバル化と規制緩和の時代──1980年代後半~2009年 バブル経済の発生/バブル経済下の物流/海外直接投資とグローバル物流/規制緩和と環境問題/リサイクルの活発化/フォワードロジスティクスとリバースロジスティクス/救世主「ロジスティクス」/4 地球社会との調和の時代──2010年以降 カーボンニュートラルに向けた物流/AI化と自動運転/インフラ崩壊とBPC強化/グローバル・サプライチェーンとリスク対応/第二章 変貌する流通の現在/1 鋭い消費者の台頭とAI物流 AIによるルートの最適化/在庫管理業務の省力化/危険を避ける予知保全/多様なトラッキングシステム/2 顧客体験価値欲求の高まりとオムニチャネル 認知・発見ステージ/検索・比較のステージ──二つの検索パターン/多様な品揃えの比較検討/ネックではなくなるリードタイム/満足いく価格水準にするには/購買ステージ/オムニチャネル/アフターフォロー・ステージ/再配達/返品/3 ラストワンマイルの効率化とドローン配送 ドローン配送の現状/「空の物流革命」はあるか/ドローン配送の問題点/4 ドライバー不足を補うギグワーカー ギグワーカーとは/なぜ流行ったのか/シェアリングエコノミーとギグワーカーの未来/第三章 ロボット化は救世主となるか──仕分けロボや自動運転配達の現在地/1 悲鳴を上げる分類取揃え機能 数量の需給ギャップを埋めてきた流通/2 ロボットによる物流施設の自動化 自動倉庫からモジュラー型へ/自動荷下ろし・積み込みロボット、無人フォークリフト/棚ごと移動させるジャッキアップロボット/高認識のアームロボット/物流ロボット化を促した要因/3 自動運転車による労働力不足の解消 自動運転の背景/自動運転トラックの動向/隊列走行トラック/自動配達ロボット/ロボット化は物流の救世主となるか/自動運転への5つの課題/第四章 災害と物流──大震災の教訓、コロナ禍・露ウ戦争下の流通/1 大震災と物流 阪神淡路大震災と物流/面目躍如たる航空輸送/神戸港全滅でダメージを受けた海上輸送/物流管理と情報管理の問題点/2 1995年から2011年の物流進化 東日本大震災で活躍したトラック配送/重要なルートの分散化/物流関連施設の分散化と強化/安心備蓄の発想/足を引っ張る共同化/情報ネットワークと「見える化」/物流プロフェッショナルの育成/3 新型コロナ禍と物流 サプライチェーン分断と3PL/消費パターンの変化とコンタクトレス物流/ECの成長とフィジカルインターネット/4 ロシア・ウクライナ戦争下の物流 依存と制裁の相克/物流へのインパクト/リスクとリショアリング/終章 新時代の潮流──SDGsを中心として/1 新時代のロジスティクス グリーンロジスティクス/モーダルシフトとCO2の削減/省エネルギーとカーボンニュートラル/標準化・共同化とユニットロードシステム/JBMIAのラストワンマイル共同化/2 労働環境改善と効率化という両輪 ジェンダー平等と物流のホワイト化/トラガール促進プロジェクトサイト/ホワイト職場はメリット大/物流業界の指針「総合物流施策大綱」/ビジネスモデルを革新させる取り組み「物流DX」/ライバル企業の垣根を越える/あとがき/参考文献
序章 2024年問題とは何か──ドライバー不足と働き方改革/1 ことの発端──働き方改革関連法案 国が目指しているものと実態の乖離/問題の根源、物流企業の激増と荷主優位の時代/2 過酷なブラック環境 長時間労働、働きすぎの労働現場/エクストラ業務の荷役/時間厳守、遅延は許されない/長い荷待ち時間/ダンピング体質と低賃金/3 ECの急成長とトラック輸送 40年弱で10倍超/非効率な再配達/4 表面化している諸問題、今後の影響 逃避するドライバー、若者の減少/高齢化の進行/5 経営逼迫化する物流関連企業 ドライバー不足の悪化/求人難と減量経営/6 困惑する利用者 荷物の到着はどれくらい遅延するのか/運賃はどうなるのか/パワーシフトは起こるか/第一章 ロジスティクスの発展をたどる──産業と物流の相関史/1 高度経済成長とインフラ整備の時代──1950年代後半~60年代 ボトルネックとなっていた物流/物流システム化/倉庫から物流センターへ/2 安定成長と小口多頻度物流の時代──1970年代~80年代前半 ハードからソフトへ/革新的な「宅配便」の誕生/ジャストインタイム物流/3 グローバル化と規制緩和の時代──1980年代後半~2009年 バブル経済の発生/バブル経済下の物流/海外直接投資とグローバル物流/規制緩和と環境問題/リサイクルの活発化/フォワードロジスティクスとリバースロジスティクス/救世主「ロジスティクス」/4 地球社会との調和の時代──2010年以降 カーボンニュートラルに向けた物流/AI化と自動運転/インフラ崩壊とBPC強化/グローバル・サプライチェーンとリスク対応/第二章 変貌する流通の現在/1 鋭い消費者の台頭とAI物流 AIによるルートの最適化/在庫管理業務の省力化/危険を避ける予知保全/多様なトラッキングシステム/2 顧客体験価値欲求の高まりとオムニチャネル 認知・発見ステージ/検索・比較のステージ──二つの検索パターン/多様な品揃えの比較検討/ネックではなくなるリードタイム/満足いく価格水準にするには/購買ステージ/オムニチャネル/アフターフォロー・ステージ/再配達/返品/3 ラストワンマイルの効率化とドローン配送 ドローン配送の現状/「空の物流革命」はあるか/ドローン配送の問題点/4 ドライバー不足を補うギグワーカー ギグワーカーとは/なぜ流行ったのか/シェアリングエコノミーとギグワーカーの未来/第三章 ロボット化は救世主となるか──仕分けロボや自動運転配達の現在地/1 悲鳴を上げる分類取揃え機能 数量の需給ギャップを埋めてきた流通/2 ロボットによる物流施設の自動化 自動倉庫からモジュラー型へ/自動荷下ろし・積み込みロボット、無人フォークリフト/棚ごと移動させるジャッキアップロボット/高認識のアームロボット/物流ロボット化を促した要因/3 自動運転車による労働力不足の解消 自動運転の背景/自動運転トラックの動向/隊列走行トラック/自動配達ロボット/ロボット化は物流の救世主となるか/自動運転への5つの課題/第四章 災害と物流──大震災の教訓、コロナ禍・露ウ戦争下の流通/1 大震災と物流 阪神淡路大震災と物流/面目躍如たる航空輸送/神戸港全滅でダメージを受けた海上輸送/物流管理と情報管理の問題点/2 1995年から2011年の物流進化 東日本大震災で活躍したトラック配送/重要なルートの分散化/物流関連施設の分散化と強化/安心備蓄の発想/足を引っ張る共同化/情報ネットワークと「見える化」/物流プロフェッショナルの育成/3 新型コロナ禍と物流 サプライチェーン分断と3PL/消費パターンの変化とコンタクトレス物流/ECの成長とフィジカルインターネット/4 ロシア・ウクライナ戦争下の物流 依存と制裁の相克/物流へのインパクト/リスクとリショアリング/終章 新時代の潮流──SDGsを中心として/1 新時代のロジスティクス グリーンロジスティクス/モーダルシフトとCO2の削減/省エネルギーとカーボンニュートラル/標準化・共同化とユニットロードシステム/JBMIAのラストワンマイル共同化/2 労働環境改善と効率化という両輪 ジェンダー平等と物流のホワイト化/トラガール促進プロジェクトサイト/ホワイト職場はメリット大/物流業界の指針「総合物流施策大綱」/ビジネスモデルを革新させる取り組み「物流DX」/ライバル企業の垣根を越える/あとがき/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よっち

31
3K職種といわれる業界で始まった働き方改革「物流の2024年問題」。戦後発展史からボトルネックの正体、これから起こるブレークスルーまで、物流の未来を考える一冊。ドライバー不足と働き方改革により、企業努力と労働者の犠牲の上に成り立っていた安くて早くて確実な、安心の物流は終わりつつある現状。一方ロジスティクスの発展や、重労働の軽減、省力化と効率化を目指して変貌する流通の現在、ロボット化が何をもたらすのか、大震災の教訓やSDGsへの対応など概況を知るのにちょうどいい一冊で、どこでもやはり協業の話は出るんですね。2024/04/02

こも 零細企業営業

29
2024年問題から本格的に危なくなって来た物流問題。2022年での宅配便の取扱個数が50億個を超える一方で、トンキロベースの輸送量は27.5%減少し、物流の矛盾が浮き彫りになった。この矛盾は荷物の平均重量の軽量化や輸送距離の短縮が一因とされている。また、ドライバーの不足や高齢化、それによる事故率の増加などが物流の問題として挙げられており、本書ではこれらの問題の解説、問題への解決策や物流業界の効率化、持続可能な開発目標の達成に向けた戦略が解説されていた。2024/04/18

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