内容説明
2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに提案されたことだった
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
535
ほとんどがひらがなの文体で描かれているので(ことに物語の終盤は)『アルジャーノンに花束を』を思わせる。物語の構想は、SFの形態をとってはいるが、本質はかならずしもそこにはない。語り手の「わたし」の圧倒的なまでの孤独と、自分自身にも理由のわからない疎外にこそ主題が求められるだろう。そのことは生きていることの意味の喪失と言い換えることもできるだろう。そうした「わたし」が持つ唯一つの生きていることのアイデンティティが「じんせいでたったひとつでいいから、わたしはまちがってなかったとおもうことをしたい」であった。2025/04/09
青乃108号
320
いかにも一般文芸作品っぽいタイトルに惹かれた。予備知識全くなしでページを開いていきなり面食らう。「アルジャーノン」が始まった。ひらがなが大半の文章がつらつら続く。最低限の漢字は使ってあるのでさほど読みにくくはない。しかしまさかのSF作品とは……融合手術を受けアンドロイド化された無名の女性。物語は彼女の長い長いその後の運命を彼女自身が記録するという体裁で描かれていく。彼女の愛と究極の孤独。淡々と彼女は語るが何とも言えない物悲しさを感じながら読み終える。2026/06/11
塩崎ツトム
205
授賞式のときにもらったガリ版、SFマガジン、そして単行本と計3回読んだ。読むたびに作品の解釈は微妙に変わるものだが、どれも「この作品はウエルベックの『ある島の可能性』と同じ地平に立っている作品じゃないか?」と考える。ただ、「ある島の~」を補助線にした語りはここには書かない。あと、3回目には第1回受賞作「みずは無間」と共通の実存問題について語っているのではないか、とも考えた。こちらとも別に語る気はないので、ぜひ両方読んで、比べてみそ。(つづく)2024/04/17
fwhd8325
188
不思議な作品です。SFはあまり好みではないのですが、紹介されている内容を見たら、面白そうだと思いました。ひらがなばかりの文章に戸惑いながらも、次第に引き込まれていきます。今までに読んだことのない世界観だと感じました。2024/08/07
やっちゃん
150
ホントにありそうな生活感のある近未来。未来の人から話を聞いているような。なによりそこまで生きられないことが寂しい。 SFのワクワクする感は無くて未来なのになぜかセピア色の無味乾燥なディストピア。忘れるのがいいのか忘れないのがいいか、これは難しい。2024/08/25




