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内容説明
「この草子、目に見え心に思ふ事を」。栄華を誇った中宮定子を支えた女房・清少納言は、なぜ膨大な言葉を書き残さなければいけなかったのか……。痛快な批評が笑いや哀感と同居する、平安朝文学を代表する随筆。ユニークな視点と鋭く繊細なまなざしですくい取った世界観を、歯切れ良く瑞々しい新訳で。「ここにもあった、いとをかし」。解説、年譜のほかに、位階、装束、牛車、建物などの図版資料を含む、宮廷生活ガイド付き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
えつ
12
図書館本。文庫にしたら分厚いかな、とも思ったけど、こちらの新訳はとても読みやすく、頭にもスッと入ってくる感じ。清少納言の感性の豊かさを感じた。図書館で借りてしまったけれど、これは手元に置いておきたいと思った。あと、他の訳も読んでみたいと思えた。2024/06/16
真琴
12
“春はあけぼの”で始まる『枕草子』は、清少納言が定子サロンで見て感じ考えた膨大な随筆集。政治的なしがらみもあり華々しい時は長くはなかったけれど、清少納言の「いとおかし」が詰まっていた。(百合要素は微笑ましい)。読みやすい訳だと思う。 2024/03/28
amanon
9
以前橋本治による桃尻語訳で読んだものを、新訳にて再読。桃尻語訳に匹敵するよい意味でくだけた訳文体で読みやすいのだけれど、いかんせん当時の宮中や、貴族同士の人間関係についての注釈が乏しいため、そのあたりの理解が怪しく、文字面だけを追っていた箇所も少なくない。巻末のガイドや解説を目にして「ああ」と思い当たった箇所もあり、それだったら、それらを巻頭においてほしかったと思う事しきり。後、訳文体がなぜか太宰の『斜陽』を思わせるが、解説を読んで、双方とも没落貴族の悲哀が背景にあると思うと、何となし腑に落ちた感が。2024/07/10
葉菜枝
6
読みやすいけれどくだけすぎない絶妙な佐々木和歌子さんの新訳のおかげで初めて「枕草子」の現代語訳を読了できた。嬉しい。訳者あとがきもとても良かった。2024/10/14
乱読家 護る会支持!
6
一条天皇の中宮・定子の女房として使えた清少納言。 日記でもなく、私家集でもない『枕草子』という膨大で繊細で絵画的な散文を、なぜ彼女は残したのか? 気ままに書いているようで、明らかに読まれることを意識して書かれている。 著者は定子サロンの作品として、定子の命令で『枕草子』の創作が始まったと仮説を立てる。 そして、紫式部から「漢文で賢いアピールをする自慢たらたらの人」と称されても、書き残さなければならなかったのは、不幸な転落をせざるを得なかった定子のサロンを輝いたものに見せるためだとする。 2024/06/11
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