内容説明
中国新疆ウイグル自治区には、ホロコースト以来、史上最大規模の少数民族の強制収容所が作られた。収容されるのは、AIに将来犯罪者になると「予想」された無実の人たち。数百万台の監視カメラ、身分証のスキャン、SNSからのデータ収集……テクノロジーを駆使した監視網が、ウイグル人への弾圧を強めていく。そしてその先に待つのは――。丹念な取材で隠された真実に迫る衝撃のノンフィクション。(解説・阿古智子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
70
これぞジャーナリストの真骨頂と思う。ニュースソースに最大限の配慮をしながら、主にトルコ在住のウイグル人たちへの丹念な取材と、自らウイグルへ行ってかなりリスキーな体験をした上で書かれた本書は、この10年の習近平体制の持つ暗部を見事にえぐり出している。AI等のテクノロジーの発展を社会のパノプティコン(監視の行き届く監獄)化に利用するとどんな社会が現れるのか、空恐ろしくなる。日本でも犯罪捜査に監視カメラがかなり利用されているが、使い方を誤らないように我々自身が警察などの動きをきちんと監視しておく必要を感じた。2024/10/19
Aster
20
エグい2024/10/23
Akki
13
感知し、把握して、制御したい。そして支配へ。人間には欲があり、欲には段階がある。さらに、欲は連鎖する。だから、新疆で起きている“状況”は世界中に輸出され、莫大な富を生むことになる(あるいはすでに生んでいる)。各地での実験を経て、より強固なシステムに育っていく。民主国家よりも独裁国家の方が多いこの世界において、しばらくこの流れは止まらない。終始ぞわぞわした。人間の業の深さを突き付けられる読書となった。テクノロジーが発展しても、ヒトそのものが何らかアップデートされない限り、ジェノサイドは無くならないのだな。2024/08/20
緋莢
12
<20世紀たちの暴君たちが利用したような悪名高いやり方はもう必要なかった。ガス室や集団墓地に人々を送ることもなく、ゆっくりと巧妙に特定の民族を殲滅させる。>中国新疆ウイグル自治区や、強制収容所について 100人以上のウイグル人へのインタビューをとおして、その実態を浮かび上がらせる本。 単行本で読んだ時も衝撃でしたが、文庫で再読した今回も、その衝撃が薄れることはありませんでした(続く 2024/12/11
Mark X Japan
10
まさに、ディストピアです。現在進行のジェノサイドは、世界中の国や国際機関等が連携して、対応しなくてはならない大問題です。☆:4.02024/05/18