内容説明
太平洋戦争末期、満州で激動の日日を過ごした青年は、その時何を思い、何を未来に残したのか――。漂泊民の少年が定住を切望する19歳の処女作「(霊媒の話より)題未定」、2012年新たに原稿が発見された、精神病棟から抜け出した男を描く「天使」、「壁―S・カルマ氏の犯罪」に繋がる「キンドル氏とねこ」。やがて世界に名を馳せる安部文学、その揺籃にふさわしい清新な思想を示す初期短編11編。(解説・ヤマザキマリ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
47
面白かったです。安部公房初期の短編集。後にノーベル賞候補になる作家なだけあり、清新な思想が伺えます。不条理と理不尽に満ちた世界ながら、熱量がありつつも静謐な軌跡が刻まれているように思いました。2024/04/09
ω
39
コボ祭りは終わらないω 1943年の執筆だって!原稿用紙の中央に大きく「題未定」と書いてたらしい。かっこいーー😳♡ その他の短編もバラエティ豊かでなかなか苦戦。この辺の初期短編を経て、壁ーS・カルマ氏の犯罪へ繋がっていくらしい。もう一回壁読も‼️2024/08/21
かんらんしゃ🎡
38
悪魔・天使・霊媒が各所に出て、面白くなりそうでやっぱり読後は消耗する。これはデビュー前後の新米時代の公房。公房作品としてはちょっと覚えがないのだが、感傷的な話があったり文の装飾が多めだったりする。かと思うと戯曲っぽいのや「題未定」「第三の手紙」など外殻と内芯・実存と本質という後のテーマとなるものもあって、80年経って読む古古古古公房はいくつもの方向性が入り交じったブレンド公房だった。2025/07/01
Gotoran
37
安部公房初期短篇集。収録作品は、(霊媒の話より)題未定/老村長の死(オカチ村物語㈠)/天使/第一の手紙~第四の手紙/白い蛾/悪魔ドゥベモオ/憎悪/タブー/虚妄/鴉沼/キンドル氏とねこ。後の作品につながるテーマがいくつも出ているように思われ、また、若かりし頃の安部公房が、自分の書いた文章を世に出すことに対する葛藤のようなものを窺い知ることができた。実に興味深かった。2024/08/07
じーにあす
27
11の短編集。安部公房最初期の短編で未完成、一部原稿が無い作品もある。以前から文庫化したら読んでみたいなと思っていました。表題作は普通に面白かったし、これが10代で書けるのだからやっぱり著者は凄い人なのかな。重厚で難解な表現も多く、途中欠けている部分もあったりで誰にでも薦められはしないけど、著者の作品が好きな人には刺さるものがあるかも。この人はやっぱり人に対する観察眼が尋常じゃないし、それを頭の中でどう処理しているんだろうと思う。世界は天国だと称賛する精神病棟から抜け出した男を描いた「天使」がお気に入り。2024/06/15




