内容説明
糸井重里さん激賞! アメリカンドリームからスピリチュアルまで、自己啓発書のベストセラーから見える異色のアメリカ論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
186
引き寄せ系:ジェームズ·アレン「原因と結果の法則」(人間が心に強く念じたことはすべて実現する)。インサイド·アウト系:ロンダ·バーン「ザ·シークレット」(自分自身を変えることで世界を変える)。などから繋がる自己啓発本の変遷。結局はサラ·バン·ブラナック「シンプルな豊さ」の六原則、感謝·簡素·秩序·調和·美·喜びに行き着くのかな。あるいは松岡修造の熱量か…2024/07/31
がらくたどん
65
以前ご紹介頂いた本。米文学者氏による米国自己啓発本史。本の歴史からアメリカ文化史が見えてくる。自己啓発本=アッパー系指南書と定義。成立条件として「出世しようと思えばできる環境」と「出世を望む人」を挙げ信仰と実利の結合を分析・分類する。読めば読むほど「もののあはれ」や「諸行無常」として日本のどの時代にも必ずあったダウナー系思想が恋しくなる意識低空飛行の私だが、明治以降アメリカに次ぐ「自己啓発本市場」を誇って来た日本の文化史も垣間見えるのでめっちゃオモロイ。格差固定と啓発嗜好の乖離が自己責任に短絡するのが心配2024/07/29
たま
62
ご感想に教えられて読みとても面白かった。アメリカの自己啓発本の歴史を辿り分類し分析する。私が既読の本は『フランクリン自伝』と『アルケミスト』だけなのに、自己啓発本は本屋さんで目にしてタイトルも知っているものが多く(『七つの習慣』『チーズはどこへ消えた』『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』『金持ち父さん、貧乏父さん』等)、それが時間軸と傾向で分類されていくのが面白かった。自己啓発思想の源流としてスウェーデンボルグが指摘されているが、これまで18世紀のオカルティズムの人という認識だったので驚いた。→ 2024/08/12
ネギっ子gen
56
【いかがわしいものが大好物】アメリカ文学研究者による、「フランクリン自伝」から始まる自己啓発書のベストセラーから見るアメリカ論。巻末に「アメリカ・日本の自己啓発本」の年表、参考文献。<厳格なカルヴァン主義に基づくピューリタニズムが蔓延していた社会がまずあって、そこにニューソ-トという新しい宗教概念が入り込み、「個人の努力次第で天国に行けるようになるかもしれない」という希望的観測が生まれた時に、「では、努力して自分の運命を変えよう」という気運が生じ>、米国発の自己啓発本たるフランクリン『自伝』が登場か――⇒2024/04/15
りょうみや
24
著者は文学研究者なのでアメリカ自己啓発本のライトな文学史と言える内容。タイトル通り努力系、引き寄せ系、ポジティブ系などの自己啓発の内容とアメリカ文化の時代による変化がなんとなく同期していることがわかる。自己啓発の全体を俯瞰できてまとめとしても使えるし、自己啓発本に新たな楽しみを見出すことができる。今まで読んだ本も違う観点から読み返したくなるし、本書で紹介されている本も読んでみたくなる。2024/07/11