内容説明
500年の眠りから覚めた呪いの人形・お梅。
現代人を呪うつもりが、間違えて次々に幸せにしてしまう!?
『逆転美人』で話題の著者による、笑いと涙と伏線回収の“呪われ人生喜劇”
古民家の解体中に発見された謎の日本人形。それはかつて戦国大名を滅亡させた呪いの人形お梅だった!
興味本位の底辺ユーチューバーに引き取られたお梅は、早速彼を呪い殺そうとするが、500年のブランクは長すぎた!?
呪いが効かないどころか、お梅の心霊動画がバズってしまい……果たしてお梅は無事に現代人を呪い殺せるのか。
笑いと涙のオカルトハートフルコメディ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
550
くだらな面白い系のコメディ。お梅の持ち主がかわっていく連作形式となっており、落ちている人形を拾ってリレーしていくことの連続なので、自然と非常に狭い界隈での話となり、それを上手く活用した人間関係の伏線を張っている。とはいえ、それもオマケみたいなもので、やはり肝となるのは、いかに呪いを幸福な結果に転じさせるかとい点にかかってくるわけだが、そこに関しては予想を裏切るような爆発力はなく力業でオチをつけている回もある。日本人の身体が大きくなったせいで瘴気は効かなくなったのに、発情させることは簡単にできていて笑った。2024/10/30
しんごろ
421
戦国時代に作られた人形のお梅。呪いの人形が令和に蘇った。そのお梅を引き取る人間を呪い殺そうとするものの、やることなすこと全てが裏目。瘴気を発すれば相手は運気があがり、悲劇を望めば喜劇。しまいには奇跡を起こさせる。お梅は、五百年前は呪いの人形かもしれないが、現代では天然ボケ人形だ。不覚にも最後は涙が流れてしまった。時間があれば一気読み間違いなし。見事な伏線回収の愉快作品。なぜか読んでる最中、“人生、楽ありゃ苦もあるさ”と、脳内で水戸黄門の歌が流れてた(笑)。2024/09/07
海猫
394
古民家の解体中に発見された謎の日本人形。それは呪いの人形お梅であった。眠りから目覚めたお梅は現代人を呪い殺そうとするが…。オムニバス風のホラー・コメディー。500年ぶりの復活なのでお梅がタイムスリッパーのごとく戸惑うのが面白い。全編ボヤいているような語り口に妙な味がある。お梅に関わった人たちが呪われていても結果的にハッピーになるパターンであるが、後半にいくほど話が凝っていて楽しめた。特に最終話にあたる「老人ほをむで呪いたい」はしんみりした話と思いきや、あまりに劇的な大団円を迎えるので驚いた。続編も読もう。2025/07/03
道楽モン
306
作者は芸人さん出身ということで、徹頭徹尾ウケを狙ったかの様なバカバカしさ。素晴らしい。もう後世に名を残そうとか、文学の金字塔を打ち立てようなどという野心は、まったく考えていない潔さ。時代考証とかどうでも良い。おそらく校閲には通っていないだろう中途半端な歴史観も御愛嬌。執筆という地味で苦しい作業を通じて、ひたすら繰り出される読者サービスとしての小ネタの連続に、笑いながら尊敬の念を感じてしまう。呪えば呪うほど、相手が幸せになるという構図こそ芸人的視点だ。たまにはこうした時間の無駄遣い読書も必要と肯定しちゃう。2024/03/10
のりすけ
305
戦国大名を滅亡させた呪いの人形・お梅ちゃんが令和に蘇る。お梅ちゃんがプリティできゅんきゅんしちゃった。チャッキーに憤るお梅ちゃん「みゐがん」なんか観ちゃった日にはどうなるんじゃろう?なんて想像したりして。猫やら犬やらが苦手なお梅ちゃんもカワユス。サクサク進みきっちり伏線回収。9月に金ローで「とゐすとをりゐ三」が放送されるのでお梅ちゃんの気持ちになって観たいと思う所存。2024/08/30