内容説明
政治家人生37年。大蔵省出身の財政通として、初当選から引退まで自民党税制調査会で活動。消費税導入に道を開いた。選挙制度改革による小選挙区制導入で、国会議員の「小粒化」が指摘される近年、戦争を経験し、中選挙区制のもとでし烈な選挙を戦い抜いてきた伊吹氏は、いまや数少ない戦後政治のかなりの期間を知る「保守政治家」といえる。政策、党務、議会に精通し、「保守とは謙虚な思想である」というのが伊吹氏の信条。伊吹氏の人生をたどることで、戦中戦後の社会と政治、そして保守政治の歩みと思想を浮かび上がらせる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
25
税調は損な役回り。新税を設けなければ国家が財政破綻することを最も危惧しているのに、国民の票は逃げる。消費税導入後の竹中内閣支持率が地に落ちたことも忘れられない。そんな税調を、当選から議員引退まで勤め上げたことに、著者の気概を感じる。「年収103万円の壁」の見直しなどと、耳当たりの良いことを主張するどこかの党は、この辺り分かっているのか。2024/11/30
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
9
▼伊吹文明氏の生い立ちから、議員引退までの人生のこと、政治の現状に対する思いなどが綴られた回顧録▼読売新聞に連載された記事に新たな文を加えて纏めたものである▼「保守とは謙虚な思想である」と著者は述べている通り、いま「保守」と聞いて連想するような過激さは全くなく、深い知識とそれに基づく教養に満ちた筆者の政治的見解を窺い知ることができる内容となっている▼筆者のような高い精神性と、知性を持った政治家が今どれほといるだろうか。党に忖度してばかりの政治家が多い現状を、筆者とともに憂いてしまうような感想を抱いた。2025/03/20
ふみりな
4
正統派の保守としての矜持を感じた。政治家は国家のあり方を判断する立場にあるだけにそのための素養、高い教養が必要と思う。2024/07/03
のん
4
衆院議長、財務大臣、文科大臣、自民党幹事長、志帥会会長等を歴任した伊吹文明の回顧録。大蔵官僚時代に渡辺美智雄大蔵大臣の知遇を得て衆院議員となり、渡辺側近として長く仕えたため渡辺から政治家として多くのことを学んだと述べている。大蔵官僚出身らしく財政規律を重んじ、かつての党税調には批判を恐れず財政規律を守ろうとする税制に通じた政治家がいたが、今はそのような政治家がいないことを嘆いていた。2024/03/21