内容説明
AIに屈服するのはまだ早い! 人間が生来備えている概算・直観・推論といった「数学的知性」をAIの計算能力と組み合わせれば、デジタル時代における新たな知の地平を拓くことができるのだ。オックスフォード大学で数学を学び教育者に転じた著者の会心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
K
2
概要は訳者あとがきがわかりやすい。本書は数学的知性とは何かを解明するものであり、それがAIとの差であることを示しているのだが、AIに対する思索というより、シンプルに数学を楽しもうというスタンスが見える。 今のAIは数学的アルゴリズムにより作られているが、数学はもっと曖昧で複雑な要素でできている。その要素とは概算、表現、推論、想像、問題、中庸、協力である。それは数学に限らない人間的営みといえるものであり、AIはそれを補助できる。AIと人の知性の距離を冷静に測りながらも、恐れる必要もないと諭しているようだ。2024/07/03
Oki
1
人間の強みである、数学的知性を特徴づける七つの要素 ①概算②表現③推論④想像⑤問題⑥中庸⑦協力 新井紀子さんのは、国語的知性を特徴づける六つの要素か? ①係り受け解析②照応解決③同義文判定④推論⑤イメージ固定⑥具体的同定(辞書・理数)2024/12/18
げんさん
1
4までしか数えられない部族がいるなんて知らなかった。2024/06/21
readerr
0
大量の古今東西の思想家、数学者、他の一言引用であふれ、必ず著者の冗談のオチで説明が終わる。忙しく追い立てられるのは、まさに、デジタル時代そのものである。AIは知能ではなく、データの集合から導き出した一つの判断に過ぎないので、データに潜む、すなわち人間の偏向が問題であるとの指摘は、ごもっとも。 人間の能力は、機械にはない、概算、推論、想像力、飛躍思考が本質で、AIの計算能力と協働により、明るい未来の展望を示す楽しい話である。 今まで、流行としか思わなかった、多様性の意義を考えさせられた。2024/10/02