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内容説明
【どこにでもある「インドカレー店」からみる移民社会】
いまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。
そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?
どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?
「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか……その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。
おいしさの中の真実に迫るノンフィクション。
【目次】
はじめに 「ナン、おかわりどうですか?」
第一章 ネパール人はなぜ日本でカレー屋を開くのか
第二章 「インネパ」の原型をつくったインド人たち
第三章 インドカレー店が急増したワケ
第四章 日本を制覇するカレー移民
第五章 稼げる店のヒミツ
第六章 カレービジネスのダークサイド
第七章 搾取されるネパール人コック
第八章 カレー屋の妻と子供たち
第九章 カレー移民の里、バグルンを旅する
おわりに カレー移民はどこへ行くのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
227
通勤路の途中にあるインド料理店に、ネパール国旗が掲げられている理由が納得できた。貧困から抜け出せないネパールでは海外出稼ぎが主要産業であり、ビザの取りやすい日本でカレー店を開くのも同じなわけだ。ロシア軍の傭兵としてウクライナで戦うよりもマシだろうが、当然そこには成功者と失敗者が生まれた。家族の教育で苦労し、搾取したりされたり、入管の取り締まりに怯えながら必死で稼いでいる。出稼ぎ者の多い土地では日本語が通じるなど、世界の発展から取り残された国の悲哀が浮かび上がる。久しぶりに硬派のノンフィクションを堪能した。2024/04/29
榊原 香織
138
ネパール人がやってるインド料理店多いな、と不思議に思ってるのは私だけじゃなかった。 外で割引チラシ配り。店内にはヒマラヤの写真とネパール国旗。安い日替わり。美味しいナン。バターチキンカレー。産業スーパー的オレンジ色ドレッシング。全国皆一緒の謎を追うルポ2025/02/02
ゆいまある
116
日本中にあるインド料理店、どこも甘くて大きなナンに、濃厚なバターチキンカレーが売り。インドは広く、多彩な料理があるにも関わらずどこもムグライ料理、似た価格。それは経営者やコックの殆どがネパール人で、彼らは徹底的に前の店のコピペで新店舗を立ち上げるからである。成程。前半のインド料理が日本に根付くまでの歴史は私も通った有名店が数多く登場しワクワクする。野村進さんを思わせる情報量の多さも読み応え充分。だがネパール移民の闇を追う内どんどん暗い内容になっていく。やたらとインド料理が食べたくなる一冊。美味しいよね!2024/08/26
kinkin
111
地方に住んでいるが、それでも彼らのカレー屋さんはある。私自身はあまりカレー好きではないのでカレーには興味はなかったがタイトルが面白そうなので読んでみた。ネパールといえば決して豊かな国ではない。そこから一発逆転を狙って日本にやってくる。成功するももあれば戻るものあり。日本のビザや入国手続き、店を営業する許可申請他、難関突破。その辺りのバイタリティーは日本人にはないものだ。それにしても日本という国は世界の食が食べることの出来る唯一の国かもしれない。いずれアマゾン料理屋なども続々かな。図書館本2024/12/22
道楽モン
105
指摘されて見回すと本当にネパール人によるインドカレーの店ばかりだ。私の行きつけの店も、勤務地の半径1km以内にある5件のカレー屋たちも、すべてが「インネパ」であり、微妙な差異はあれどメニューは相似形かつ日本人好みに絶妙に調整してある。なんかネパールの方々が多いなぁ、ビザ乱発したという噂もあるなぁ、行きつけ店のオーナーは祖国に家2軒と別荘があり、孤児を養子にしていると言ってたなぁ、などの曖昧な情報に対する解答は本書にバッチリ記載されていてる。日本におけるインネパは、すでに完成されたビジネスモデルなのだった。2024/03/27