第二次マンガ革命史 劇画と青年コミックの誕生

個数:1
紙書籍版価格
¥2,420
  • 電子書籍
  • Reader
  • 特価
  • ポイントキャンペーン

第二次マンガ革命史 劇画と青年コミックの誕生

  • 著者名:中川右介【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 特価 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 双葉社(2024/02発売)
  • 蝉しぐれそそぐ!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~8/3)
  • ポイント 275pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784575318623

ファイル: /

内容説明

戦後、それまでの「漫画」は、手塚治虫による「ストーリーマンガ」の登場により、まったく別のものになった。これを仮に「第一次マンガ革命」と呼ぶ。
従来の風刺画・滑稽画から始まった「漫画」と、手塚の「ストーリーマンガ」とは、「コマ」があること、「ふきだしの中にセリフが書かれている」という共通点はあるが、「物語」の有無において根本的に異なっていた。
戦前からの「漫画」を引きずりながら、戦後の「マンガ」は新たな文藝ジャンルとして発展していった。手塚マンガは多くの亜流を生み、テレビアニメとも連動して、巨大産業へと成長した。
だが、やがて「手塚マンガは古い」とする勢力が現れた。彼らは自分たちの描くマンガを、手塚治虫とその影響下にあるマンガと区別するために「劇画」と呼んだ。
「劇画」が登場したのは貸本屋向けのマンガにおいである。一九五〇年代の日本は、まだ本や雑誌を買える人が限られていたので、貸本屋が隆盛だった。
貸本マンガの読者は子どもだけでなく、中卒・高卒で働いている若い労働者も大衆小説と同じように読んでいた。しかし、すでに中学生ではない彼らは、マンガを好んではいたが、「子どもっぽい」と物足りなく感じていた。描き手のマンガ家たちも子ども相手のマンガに物足りなくなっていた――ここに需要サイドと供給サイドの思いが一致し、青年を読者に想定したマンガが生まれた。その青年向けマンガの描き手が、自分たちの描くものは「劇画」だと宣言したのが、一九五九年である。
そしてこの同じ年、小学館は「週刊少年サンデー」を、講談社は「週刊少年マガジン」を創刊し、両誌ともマンガを柱とした。月刊の少年誌・少女誌もマンガが柱となっており、少年マンガ・少女マンガは隆盛を迎えていた。
それにともない、一九六〇年代も半ばになると、貸本マンガ業界が衰退していく。ごくわずかの貸本マンガの描き手だけが、一般書店で販売される雑誌へ転身できた。その代表が白土三平や水木しげるだった。彼らを積極的に受け入れたのが、手塚治虫と絶縁した「週刊少年マガジン」で、少年誌でありながら劇画の牙城となっていく。
白土と水木の二人を柱にして、一九六四年に「ガロ」が創刊された。新人の発掘にも熱心で、実験的・前衛的なマンガがこの雑誌から生まれていく。
「ガロ」に刺激されて、一九六六年に手塚治虫が創刊したのが、「COM」だった。この雑誌からも多くの新人が巣立っていく。
一方、青年がマンガを読むと知った出版社は、「青年コミック」という新たな市場を開拓した。一九六六年に「コミックmagazine」(芳文社)が最初の青年マンガ誌として創刊され、六七年に「週刊漫画アクション」(双葉社)と「月刊ヤングコミック」(少年画報社)、六八年に「ビッグコミック」(小学館)、「プレイコミック」(秋田書店)と次々と青年コミック誌が創刊された。「劇画」はこの新市場にも流れ込んだ。
手塚治虫の革命が第一の革命ならば、「劇画」は第二の革命の始まりだった。やがて「青年マンガ」「青年コミック」が市民権を得て第二次マンガ革命は成就する。(「はじめに」より抜粋)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

107
手塚治虫により最初の隆盛を迎えた戦後マンガだが、子供向けの絵柄や物語が大人や若者の読み手には飽き足らなく感じられてきた。そんなニーズに応じて劇画が生まれ、出版社も新たな読者層に向けて青年コミック誌創刊を競い、百花繚乱の第二次革命期が到来したと見る。移り変わる時代が求めるものに対応できなければ、昨日までの人気者も見捨てられる弱肉強食の世はマンガ界も同じなのだ。第一次と第二次の若者たちは激しく戦い、脱落者も出る一方で手塚本人を筆頭に経験を積んで成長していく。まさに群像劇の大河小説を読んでいる気分にさせられる。2024/04/12

akihiko810/アカウント移行中

26
トキワ荘史観とは別のマンガ史として、「劇画」と青年コミックの勃興を解説する。印象度A  マンガ史本。著者は手塚の登場を「第一次マンガ革命」と位置づけ、手塚マンガからの脱却・子供向けでなく大人青年向けの漫画が登場・勃興したのを「第二次マンガ革命」と名付けた。マンガ史本は何冊も読んでしっているのだが、あいかわらずの大量の資料を紐解き、さすがの中川の仕事といえる。素晴らしい。 この本で面白かったのは、貸本劇画の衰退と、週刊青年マンガ雑誌の登場の間が開いてしまったことで、マンガ業界から去った貸本漫画家が(続2024/06/15

kei-zu

23
トキワ荘史観とは別のマンガ史として、「劇画」の歴史を解説する。過去に辰巳ヨシヒロ「劇画漂流」や、水木しげる「昭和史」を読んでいたので、当時の様子がいろいろ伺えて興味深い。日本マンガがかくも大きな大河となったのは、先人の様々な葛藤と闘いがあったと改めて感じさせる。2024/05/14

阿部義彦

21
幻冬舎新書『萩尾望都と竹宮惠子』の著者の新作は劇画(ガロ、COM)青年コミック(アクション、ビッグ)に焦点を絞りこの本を上梓しました。凄い力作です、先ず資料の読込みに時間をかけて、それぞれの食い違い、矛盾点(思い違いか?)まで指摘、貸本漫画から始まった所謂劇画から、少年誌への進出、ガロ、COMの創刊、そこから青年誌の大衆化まで、複雑に成りがちなのを、似た様な作家を群として、並列に描写しつつ、重要な7人の漫画家についてはかなり詳細に履歴を追ってます。未完の大作『火の鳥』『009』『カムイ伝』、つげ、水木他。2024/02/24

KEI

14
手塚治虫史観で語られがちな戦後マンガ史を劇画漫画家達を中心にまとめている。 本著ではさいとうたかを、白土三平、水木しげる、つげ義春などの生き様を追いつつ戦後マンガ史を手塚史観とは別の角度からまとめていて面白かった。 手塚治虫も偉大だけど劇画漫画家達の功績も大きいと感じた一冊2025/01/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21732037
  • ご注意事項

最近チェックした商品