内容説明
赤穂浪士による仇討ち。世に名高い「忠臣蔵」は主君の無念を晴らす忠義の物語として江戸時代から語り継がれてきた。しかし、その一方で、武士であることに誇りを持ち、同じ志を持つ47人の侍たちの「友情物語」でもある。吉良上野介を斬った男でありながら「赤穂一の粗忽者」として愛された武林唯七を主人公に、涙無しには読めない「友情物語」としての忠臣蔵を新鋭が綴る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
119
良かった~(拍手)色んな作家の『忠臣蔵』を読んだり観たりしてきたが、本作は良い意味で楽しく心地良い『忠臣蔵』だった。「粗忽者」と親しまれた浅野内匠頭の中小姓近習・武林唯七を芯に、そこから見える四十七士の物語。忠義とか、家とか、家族愛や友情。そして、やっぱり最後は泣けてしまう。―仕合せや死出の山路は花ざかりー2024/03/15
ゆのん
58
時代物や歴史物が大好きで本だけではなく映像でも好んで観るが、中でも『忠臣蔵』は何度読み、観ても大号泣してしまう。大石内蔵助メインに描かれる物が多い中、本作は中小姓近習・武林唯七メインで描かれている。『粗忽者』であった唯七に笑ったり泣いたりと忙しい読書であった。有名な話であり結末は分かっているのだが頁を捲る手が止まらない。僅か11歳から殿に仕えた心優しい粗忽者から見る殿・浅野内匠頭や筆頭家老・大石内蔵助、堀部安兵衛はじめとする仲間達の姿や、討ち入りに対する気持ちの変化、家族への想いなど感動の物語だった。2024/02/06
よし
2
冒頭から武林唯七の粗忽なエピソード語られ、ほっこりしていたら、殿が刃傷に及んだことを聞かされ、急展開。唯七を通して、様々な人物の立場や思惑が描き出され、当日、後日談まで夢中で読みました。討ち入りの際主税が堀部安兵衛にかけた言葉とその存在感が素晴らしくて印象的です。唯七は、現代にもいそうな親近感がわきます。この事件で命を失った多くの人間がいて、残酷なはずなのにとこかさわやかな読後感なのは、唯七の人物像のおかげなのではないかと思います。#NetGalleyJP2024/02/21