岩波現代文庫<br> 「鎖国」を見直す

個数:1
紙書籍版価格
¥1,078
  • 電子書籍
  • Reader

岩波現代文庫
「鎖国」を見直す

  • 著者名:荒野泰典
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 岩波書店(2024/02発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784006004125

ファイル: /

内容説明

江戸時代の日本は「鎖国」ではなく「四つの口(長崎・対馬・蝦夷・琉球)」で世界につながり,開かれていた――著者が提起した「海禁・華夷秩序論」は様々な議論をよび,反発を生みながらも,江戸時代のイメージを塗り替え,通説として定着してきた.著者の長年にわたる研究のエッセンスをわかりやすくまとめた待望の一冊.

目次

第Ⅰ部 「鎖国」を見直す
はじめに
1 見直される「鎖国」――現状と問題点
一 高校教科書の記述の変化から
二 高校教科書の記述の問題点
2 「鎖国」という言葉の経歴――誕生・流布・定着の歴史的意味
一 「鎖国」という言葉の誕生
二 「鎖国」の評価の変遷
三 鎖国観定着の意味
3 近世日本の国際関係の実態
一 近世日本の「四つの口」
二 長崎口――オランダ・中国との「通商の関係」
(1)出島と唐人屋敷
(2)「通商」の意味
三 対馬口――朝鮮との「通信」の関係
(1)「通信」の実態
(2)日朝関係と対馬宗氏
四 薩摩・琉球口――琉球王国との「通信」の関係
(1)琉球の大航海時代――一五・一六世紀の琉球と東アジア
(2)「倭寇的状況」と琉球王国の衰退
(3)日中「両属」の国琉球
五 松前口――蝦夷地のアイヌ等との「撫育」の関係
4 東アジアのなかで息づく近世日本――「鎖国」論から「国際関係」論へ
一 近世日本と東アジアの国際関係――「海禁」と「華夷秩序」を通して見る
二 近世日本と東アジア国際市場――貿易に見る日本と東アジア
5 鎖国を見直す意味――なぜ歴史は見直されるのか
第Ⅱ部 明治維新と「鎖国・開国」言説――なぜ近世日本が「鎖国」と考えられるようになったのか
1 前口上
2 はじめに――「鎖国・開国」言説ということ
3 近世日本の国際関係の実態
一 「鎖国」から「四つの口」論へ
二 「鎖国」論から「海禁・華夷秩序」論へ
三 「小帝国」近世日本と「海禁」
四 「海禁・華夷秩序」観から「鎖国・開国」言説へ
4 終わりに――「鎖国・開国」言説の成立と定着
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さくらさくら

37
図書館本。江戸時代の鎖国政策を日本人は当然の事として学んできた。しかし「鎖国」との表現は適切ではなく、著者は「海禁・華夷秩序」だと提起している。最近は通説として定着してきているが、現在でも中学の歴史教科書には「鎖国」表記が存在する。この本は著者の長年の研究をわかりやすくまとめた物だ。既に詳しい方には物足りないかもしれないが、私はとても楽しく読めた。2020/08/31

さとうしん

19
日本は鎖国をしているという言説がどのような背景のもとで語られるようになったのか、それはどう評価されていたのか、その評価はどう変わったのか、日本の国際関係の実態はどのようなものだったのか、鎖国が実態に合わないとしたら開国とは一体何なのかといった、鎖国をめぐるねじれを丁寧に解きほぐす。学習指導要領での「鎖国」の扱いをめぐる変化を見ると、政治と切り離された歴史学研究はどこまで可能なのかということも考えさせられる。2020/01/08

かんがく

17
今となっては常識となっている、江戸日本は鎖国をしていなかったという論を早くから唱えていた研究。明治新政府が開国=近代化を正統化し、鎖国=旧幕府を貶める意図があったとする。歴史の捉え方について考えさせられる。これから歴史を学ぶ子供たちは良いが、既に大人になった人々の歴史観をアップデートするのはなかなか難しい。2020/03/16

いとう・しんご

12
「倭寇とは何か」きっかけ。同書は★☆☆☆☆評価だけど、本書は★★★★☆評価をあげたい。列強との不平等条約を受け入れた維新政権がみずからの外交的失敗を糊塗するために開国こそ是とする、鎖国は否と喧伝した結果、鎖国という言葉が一人歩きしたのであり、江戸時代の日本も周辺諸地域と繋がりつつ、奄美や琉球、蝦夷地の人々の搾取の受けに成立していたと指摘する。200頁に満たない本だけど、中身のギュッと詰まった、一読に値する本です。2025/08/14

アメヲトコ

7
近世日本を「鎖国」とする史観に異議を唱え続けてきた著者の仕事のエッセンスをまとめた一冊。一般公演を書き起こしたものなので、「四つの口」論や「海禁と華夷秩序」論などの要諦がわかりやすく読めます。そのぶん細かい実証などは抜きなので、詳しいところは論文でということになるでしょうか。2020/11/17

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/14876868
  • ご注意事項

最近チェックした商品