内容説明
1989年,ルーマニア.独裁が続くこの街で,高校生のクリスティアンは密告者になった.自由を夢見る17歳は,東欧諸国の民主化を伝える海外ラジオに耳をすませ,任務を逆手にとって,世界に真実を知らせようとする――抑圧された人々の祈りが,ついに国を動かすとき.革命の希望と痛みを描く,渾身の歴史フィクション.
目次
モノクロの街の夜明けに
作者あとがき
リサーチと出典について
訳者あとがき
日本語版読者のための参考資料
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
40
チャウシェスク政権の崩壊のニュースは覚えているが、あくまでも他国の出来事という感覚だった。常に監視され、自由に音楽を聴くことも、発言もできなかった。自由のない時代‐直近の香港が近いだろうか。青春時代など、色とりどりであるはずなのに、邦題タイトルでは、街の色はモノクロだ。自我に目覚め、将来に希望を持った若者たちにとって、政府からの抑圧が、どれだけ毎日を蝕んでいたのか、受けていた心の傷がいかほどのものだったのかが察せられる。言論等圧の波は、いつ起こるかわからない。2025/08/19
東谷くまみ
30
エア・ジョーダン、ベネトン、ソニーのウォークマン…私が中学生の頃に憧れていたものの名前にハッとする。たった37年前まで東欧ルーマニアでは独裁体制が敷かれていた-「リベルテ!リベルテ!」言論統制、秘密警察セクリターテによる監視、反体制派への弾圧・暗殺…圧倒的なリアリティで当時の息苦しく重苦しい空気が伝わってくるようで怯みそうになるけれど、17歳の主人公クリスティアンの葛藤、初恋の行方、謎の密告者が気になり一気読み。恐怖に支配され続けた24年間。家族、人と人との絆、未来、自由…たくさんのものを奪われながらも2026/05/07
ぱに
14
ルータ・セペティスさんの本の大ファンです。3冊とも読み終わったあとの胸に迫る感動は言葉になりません。今回の本はルーマニア革命について。これまでの本と同様、名もない市井の若者が主人公。彼らがその時代をどれだけ懸命に生きたかを克明に知らせてくれます。日本に住む私はルーマニアの歴史をあまり知りません。こんなことがたった30年前まで現実にあったなんてと思うと苦しくてたまらなくなる。知ることで歴史に声を与える、セペティスさんの言葉を忘れずにいたい。ひとりでも多くの人に読んで欲しいです。歴史に声を与えてください2023/09/22
HISA
13
☆☆☆☆待ちに待ったセペティスの新作。前2作が良すぎて期待値が高かったせいか、はじめは閉塞感しかない雰囲気にちょっと入り込みにくいところもあったけど、途中から一気読み。政権が崩れていく混乱の様子と国民の熱気が、臨場感を持って伝わった。ラストがとても気になったけど、終わらない現実があるのか。家族のそれぞれが自分のやり方で家族を守ろうとした悲しい監視社会の物語。たくさんの人に読んでほしい。2023/12/30
奏
10
チャウシェスク独裁政権時のルーマニア。17歳のクリスティアンは家族とともに、苦しい生活を強いられていたが、秘密警察の諜報員から目をつけられ、密告者となってしまう。誰も信用できず、心が削られる日々、こっそりと自分の思いや考えをノートに綴る。彼の苦しみに心を寄せながら、なかなか状況が好転しないことがもどかしく、追い打ちをかけてくるような展開に息がつまる。ルーマニアの歴史とともに今のことも知りたいと思う。とても読みやす訳。2024/03/21




