内容説明
日本屈指の財閥・御池家の御曹司に生まれた康彦は、出生に関する秘密を抱え、不遇な青春時代を過ごしていた。敗戦後、GHQの財閥解体によって、御池家は存続の危機を迎える。時を同じくして、お抱え運転手の娘・夏子のもとには、怪しげな男が現れるようになっていた。彼女は康彦の亡父が遺した莫大な遺産に関する重要な情報を握っているというが……。没落の際に立つ上流階級たちの欺きあいを描いた、戦後サスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
69
いつもの読み慣れた山周小説と違う感触である。そのいちばんのワケはすぐに分かった。これまでの山周小説には登場しなかったハイ・ソサエティな財閥の御曹司が主人公だからである。日本はこの敗戦でアメリカなどの連合軍による「財閥解体」の危機を迎えることに…。今作では小説家・山木周五郎の名で、作中にヒロインの相談相手をするオマケつき。自身が東京で体験した、連合軍による激しい空襲も真に迫っています。山周の現代小説ー戦中・戦後の日本を描いた物語は登場人物の内面描写も繊細で、緊張感あって面白かった。2025/03/29
こけこ
2
上流階級の財閥の人たちのサスペンス。角川書店のHPの本紹介には、隠れた名作とあったが、私にはイマイチだった。山本周五郎は、人情ものがいいなあ。2024/06/06
まさ
1
山本周五郎にしては珍しく、少しハイソな人々を取り上げた小説。しかし、素朴にコツコツと生きるということをテーマにしているのだと最後のページの一文にある『もう自分とは縁のない人々がたちだがどこかで、それぞれに生き難い日々を生きているのだろう』という一節をを読んで思った。 2025/01/06
ゾーンディフェンス
0
山本周五郎の現代物だったが、正直、さっぱりわからなかった。入り込めなかったというかね。感想といってもホントに何を書いて良いのかわからないくらい内容を把握できなかった。旧財閥、旧華族、それぞれの戦後、非嫡出子等々、単語は出てくるけど、それをどう組み合わせて感想を書けばいいのやらサッパリ見当がつかない。あらすじ等を知りたい方は他の方の感想を読んでください。これだけ見当がつかないのは、私が望む山本周五郎ではなかったからかなぁ…。2025/04/09