内容説明
遠藤周作生誕100年企画。著者の原点となる信仰を軸に、自由や孤独、苦しみについての見解より、真の人間の姿にせまる若き日の圧倒的作品の数々!著者最初期の評論他、貴重な講演録も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スリカータ
11
読み終えると、この本は題名の真意がわかる。遠藤周作さんの生誕100年記念に若い頃のエッセイをまとめた本。今から50~60年前に書かれたものは、当時の「若者」も後期高齢者になり鬼籍に入られた人もいるだろう。昭和の懐かしさと風情を感じた。自動車運転の端末は狐狸庵先生の軽妙なエッセイを彷彿とさせ、可笑し味があった。深い河を読んだ当時は衝撃的だったが、映画化された裏話もあり興味深い。2023/12/16
元気伊勢子
5
クスリと笑える話もあるし、真剣な話もありでバラエティに富んでいて、面白かった。人生を抱きしめるというタイトルが今、精神的にしんどいから余計に響く。2024/04/12
NAGISAN
2
一世代前の日本人は、落語のような楽しいウソとホラをよくついた。ウソと糾弾されないギリギリを狙う一面的な論説が横行する現在とは大違いだ。社会的ウソ、政治的ウソがあっても、人間的ウソになってはいけないというのは心に染みた。その他、フランス心理小説の「整然とした分析方法と明晰な作家的資を重んじる」が、ドストエフスキー的人間像を調和さすか」の激しい抗争のことも。今更ながら、「狐狸庵先生」の言葉をまじめに聞いておけばよかったと自省。本書の主題は、木村真理さんの解説(小説の種「夜と霧」)を先に読むと、理解が早くなる。2023/12/07
ムサシ3世
0
遠藤周作の原点を知るにはとてもいい本だと思う。この人が作家になった頃にどんなことを考えていたか分かって興味深かった。このあとで数々の作品に発展した核となるような考えを作家となる出発点ですでに種(原型)として持っていたようだ。この作家にとって重いテーマでは「夜と霧」が大切な本となり、軽いユーモアでは「エイプリルフール」が大切な日となってる。そして何よりこの作家の核となる体験は自らの病気と留学の中にあったのだろう。最後に講演で語った聖人とらい病患者のたとえ話がこの人の人生観を端的にに表してる。 2024/01/22
bigdad
0
☆☆☆2023/12/08