文春e-book<br> 中野のお父さんと五つの謎

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文春e-book
中野のお父さんと五つの謎

  • 著者名:北村薫【著】
  • 価格 ¥1,800(本体¥1,637)
  • 文藝春秋(2024/02発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 480pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163918020

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内容説明

あの文豪の、こんな謎も、お父さんが解決!

高校国語教師の父と体育会系文芸編集者の娘の“名探偵コンビ”が、
本や小説に潜む「謎」に挑む人気シリーズ第4弾。
「日常の謎」の名手であり〈本の達人〉による5編。

【収録作品】
●漱石と月
英国留学中の漱石が〈I love you〉を〈月が綺麗ですね〉と翻訳したのは
根拠のない都市伝説のようなもの。だがそのエピソードは独り歩きして、
多くの作品に影響を与えている。
いったいどうして、〈I love you〉と〈漱石〉が〈月〉に繋がるのか……。

●清張と手おくれ
『点と線』といえば大ベストセラーにしてロングセラー、
松本清張の代表作のひとつだが、
本格ミステリファンからは「失敗作」だと評判が悪い。
『点と線』にまつわる知られざるエピソードとは?

●「白波看板」と語り
鬼平シリーズ前に初めて長谷川平蔵が登場したのは短編「白波看板」。
この作品はかつて、三遊亭圓生が人情噺として口演していたという。
そこに見られる言葉の“改変”。
これは作家によるものか、あるいは噺家の独断か……。

●煙草入れと万葉集
若き日の圓生の間違いを指摘した久保田万太郎。
その間違いとは、“十二煙草入れ”についてだった。
どうやらその昔、“十二煙草入れ”というものがあったようだ。
しかしいったい、十二煙草入れとはどういうものなのか? 

●芥川と最初の本
敬愛する漱石の本に使われていた書家を、自身の初めての本『羅生門』にも
起用したいと考えていた芥川龍之介。
その思いが強く表れた装丁はどういうものだったのか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

204
北村 薫は、新作中心に読んでいる作家です。中野のお父さんシリーズ第四弾読みました。 今回は、文豪連作短編集、お父さんの登場&謎、少な目です。オススメは、「漱石と月」&「芥川と最初の本」です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163918020 2月は、本書で読了となります。2024/02/29

trazom

111
出版社に勤める編集者の女性が、文学・文壇にまつわる謎を解決してゆくという何ともユニークで楽しい物語。中野の実家に住むお父さん(高校の国語教師)の抜群の推理が冴えるというのがタイトルの意。漱石が「アイ・ラブ・ユー」を「月が綺麗ですね」と訳したという都市伝説はどうしてできたか/松本清張の「点と線」のトリックの稚拙さを公然と指摘したのは誰か/芥川龍之介の「羅生門」の装丁に刻まれた漱石の思い出など5つの謎の物語からなるが、資料や裏話を手繰りながら真相に迫ってゆく展開は、スリル満点でとても楽しい。ああ、面白かった!2024/04/03

buchipanda3

98
今回も文芸謎解きミステリ噺を存分に楽しめた。漱石、清張、池波正太郎などの謎めいた逸話の深掘りに興味がそそられ、それを愉しげに語り合う空気感もまた心地良い。今作では時代感覚と言葉の力が印象に残った。時代の移ろいに伴う常識の変化があるが、昔の本は当時の活きた感性に触れる愉しみとなる。漱石の言葉からあの映画の台詞に繋がる面白味、芥川の手紙に喜々となる心、落語の魅力を小説に盛り込む遊び心、ルビで示す落語家への敬意。どれも本と言葉が在ることの愉悦を伝えてくれる。あと著者は駄洒落だけじゃなく今のお笑いも好きそうだね。2024/02/11

aquamarine

80
シリーズ4作目(読む直前に3作目を読んでないことを思い出したが強行突破)。漱石と月では、話にも出てくる刑事ドラマを見ていて逆に根拠がないことを知っていたがこんな風に理路整然と謎に道筋がつけられると感動してしまう。同様に「点と線」は再読したくなったし、和田誠さんの「物語の旅」、途中まで既読の「鬼平犯科帳」も読みたくなった。お父さんのところにたどり着くまでいろんな専門家と話すので初期のお父さんが謎を解く、というイメージは薄くなっている気がする。北村さんのエッセイを読んでいるという感じの方が近いかもしれない。2024/03/25

がらくたどん

65
良いのだ。このシリーズをブツブツ言いつつ集めている(私は文庫主義!)読み手は自分も含め納得しているのだ。巻を重ねたらこうなるしかないし、それはそれで楽しいのだと。文学探偵とは元々は平場の暮らしに文学が接触して滲む謎を文学上の解釈の縺れから解いていく趣向だったはず。分かっていたのだ。いつか文学蘊蓄合戦になると。「本を振りかざした、おじいさんの戦い」もう自分で言っちゃってるし。それに悔しいけど面白いし。漱石の「アイラブユー」とか清張の『点と線』とかくすぐり処も巧い。本を仲立ちにした物語を表裏の表紙が一手に担う2024/04/18

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